
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は3月31日、2024年スチュワードシップ活動報告を公表。その中で、委託先運用会社の「重大ESG課題」認識の結果を発表した。昨年と同様、気候変動がトップとなった。
今回の結果では、国内株パッシブ運用機関では、全ての運用会社が「重大」と答えたものが、気候変動、生物多様性、人権と地域社会、サプライチェーン、ダイバーシティ、情報開示の5つ。昨年まで入っていた情報開示が86%へと下がった。
国内株アクティブ運用機関では、全ての運用会社が「重大」と答えたものは、気候変動のみだった。昨年は、取締役会構成・評価、少数株主保護(政策保有等)、情報開示、資本効率も100%だったが、下がった。他には、資本効率が85%、生物多様性、コーポレートガバナンス、ダイバシティが77%だった。
国内債券でも、100%は気候変動のみだった。
外国株パッシブ運用機関では、全ての運用会社が「重大」と答えたものが、気候変動、森林伐採、水資源・水使用、生物多様性、人権と地域社会、ダイバーシティ、情報開示。外国株アクティブ運用機関では100%はなかった。
(出所)GPIF
またGPIFは同日、2029年度までの「中期目標」と「中期計画」を発表。長期的に年金積立金の実質的運用利回り目標を1.7%から1.9%に引き上げた。アセットクラス全体及びアセットクラス毎のベンチマーク収益率目標については、単年度ではなく、目標期間全体で達成することを主とし、各年度での達成も努力目標とした。加えて、投資行動に沿った要因分解に基づく運用実績の検証を行っていくことも努力目標としておいた。アセットクラス割合では、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式を各25%の目標を維持しつつ、乖離許容量を1ポイント程度縮めた。オルタナティブ投資割合も、独立したアセットクラスとしては扱わず、資産全体の5%を上限とすることを据え置いた。
運用委託先の選定方法では、過去の運用実績等だけでなく、投資対象の選定の考え方やリスク管理の手法等も含めて総合的に評価することを明記した。リスク管理では、地政学上のリスクや、気候変動によるリスク等の多様なリスク適切に考慮するよう努めることも明記した。
スチュワードシップ活動では、スチュワードシップ責任として、従来から記していた「投資先企業やその事業環境等に関する深い理解」に加え、「運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮」に基づく建設的なエンゲージメント等を行うことを明記。さらに、新たに制定したサステナビリティ投資方針に基づきPCDAサイクルを定説に回しながら検証することや、「投資先企業の事業内容がもたらす社会・環境的効果(インパクト)を考慮して投資を行う」ことを検討することも盛り込んだ。
それに伴い、GPIFは同日、「投資原則」を改訂し、投資において、ESGとともに「社会・環境的効果(インパクト)を考慮」することを明記。スチュワードシップ活動については、「ESG」を「ESGなどのサステナビリティ」に微修正した。同様に、2024年に制定した「アセットオーナー・プリンシプル取組方針」でも同様の改訂を行った。
新たに制定したサステナビリティ投資方針では、アセットクラス全体でサステナビリティ投資を推進することで、「サステナビリティに関するリスクの低減や市場の持続可能性の向上」と「市場平均収益率の確保」の両立を図ることで、GPIFのポートフォリオ全体の長期的なパフォーマンス向上に貢献することを目指すと明記。また、効果検証を確実に行い、果断に見直すことも掲げた。
またESG投資が、GPIFが採用を開始した2017年以降、超過収益やリスク低減の実績を上げたことから、ESGインデックスの新規選定を実施することを発表。アクティブ運用やオルタナティブ運用でもサステナビリティ投資を開始する。また、ESGインデックス投資についてもリバランスの対象とすることも決めた。
【参照ページ】2024/25年 スチュワードシップ活動報告
【参照ページ】目標・計画、評価等
【参照ページ】年金積立金管理運用独立行政法人の投資原則
【参照ページ】アセットオーナー・プリンシプルの受入れについて
【参照ページ】サステナビリティ投資方針
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