
キリンホールディングスと東京大学は6月30日、スリランカ紅茶農園従業員のウェルビーイングとネイチャーポジティブに向けた施策の社会的・環境的インパクト評価に向けた共同研究を開始したと発表した。
今回の共同研究では、スリランカの紅茶農園で働く人々のウェルビーイングの構成要素の特定し、それらの構成要素を踏まえウェルビーイングを向上させる手法を検討。また、持続可能な原料生産に向けた環境への取り組みを現地で展開するための方法も検討する。
同社は今回、原料生産地の自然・労働環境の改善に対し商品開発に携わる企業が関与することで、環境負荷の軽減や労働環境の改善等の積極的な効果を生み出す可能性が近年指摘されていると認識。さらに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)や自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に加え、社会格差分野の情報開示タスクフォース「不平等・社会関連財務情報開示タスクフォース(TISFD)」も発足し、今後はより社会関連情報の開示に対してニーズが高まるとの考えも示した。
そこで同社は、これまで実施してきた活動が生産地にもたらしてきたインパクト評価についてより丁寧な検討を行うため、2025年から2027年にかけて今回の共同研究を実施し、その結果を今後の同社のCSV活動に活用することを目指すことを決めた。
具体的には、東京大学と共同で環境インパクトの測定に関して、現地研究機関との連携協議と調整を実施。スリランカにおける日本企業の取り組み実施過程を追跡し、社会的インパクトの測定に関するウェルビーイング調査の設計・実施及び分析を行う。
今回の取り組みに先立ち、2024年に農園で働く従業員のウェルビーイングの構成要素を把握するための事前調査を1つの大農園で実施。その結果を踏まえ、2025年は調査対象を3つに拡大し調査を実施する。今後は、2025年の調査結果と2027年に同じ3農園で行う調査結果を比較し、施策効果を測定する予定。
また、同社は2025年5月、国際環境団体28機関で構成する「ネイチャーポジティブ・イニシアチブ(NPI)」が主導する「自然状態(ネイチャー・ステート)」測定指標案のパイロットプロジェクトに選定されており、今回の研究を通してプロジェクトを推進する予定。今後、生産拠点だけではなく、サプライチェーン全体でのネイチャーポジティブの実現を目指すとした。
【参考】【国際】NPI、陸域生態系の自然状態測定指標で実証開始。30社以上が参画。TNFDやGRIに反映へ(2025年5月9日)
同社は、「キリン 午後の紅茶」に使用される紅茶葉の原料生産地であるスリランカにおいて、2007年から農園の従業員と家族の支援をするため、教育支援の1つとして図書の寄贈を開始する等、様々な活動を実施。
2024年12月には、国際環境NGOのレインフォレスト・アライアンス(RA)と共同で2023年10月より開発してきた茶のリジェネラティブ茶葉農業推進ツール「リジェネラティブ・ティー・スコアカード」の運用を開始。また、同月に三井農林とともに、スリランカの紅茶農園を対象とした人権デューデリジェンスの取り組みも開始している。
【参考】【スリランカ】キリン、リジェネラティブ・ティー・スコアカード共同運用開始(2025年1月9日)
【参照ページ】キリンホールディングスと東京大学が、スリランカ紅茶農園の社会的・環境的インパクト評価に向けた共同研究を開始
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