
積水化学工業は8月21日、米SAF製造Velocysと、eFuel(合成燃料)の1種である二酸化炭素由来の持続可能な航空燃料(SAF)の製造技術構築に向けた戦略的提携で基本合意書を締結したと発表した。
航空産業は、世界の温室効果ガス排出量の約2.6%を占めており、その対策としてSAFが注目されている。国際エネルギー機関(IEA)等によれば、航空産業の温室効果ガス削減目標の65%はSAFの導入により達成されるべきであるとされている。
現在主流のSAFは、廃油やバイオマス由来の原料から製造されているが、今後のSAF需要の増加から二酸化炭素と再生可能エネルギー由来の水素から製造されるSAFへの早期の取組み及び普及が不可欠だとされている。同社は二酸化炭素回収・利用(CCU)技術を活用した航空業界のカーボンニュートラル化への貢献するため、同取り組みを実施する。
今回の提携では、積水化学のCO2→COケミカルルーピング技術と、Velocysのマイクロチャネル反応器を用いる合成ガス(COと水素の混合ガス)を原料とするフィッシャー・トロプシュ(FT)反応技術を組み合わせ、二酸化炭素由来のSAF製造技術の構築を推進する。
積水化学は、独自に開発したCO2→CO変換技術「ケミカルルーピング反応」において、90%以上の高いCO反応収率を実現。製鉄所排ガスを用いた1日当たり1kgの二酸化炭素を処理する小規模実証を6ヶ月間運転して成功させた。
現在は、1日当たり10tの二酸化炭素を処理する規模の実証に向けた調査事業を実施している。同調査事業は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証前調査)」に採択されている。
Velocysは、都市ごみや産業廃棄物、バイオマス、二酸化炭素から変換される合成ガスを原料として合成燃料を製造するFT反応技術の開発を行っており、Velocys独自の触媒とマイクロチャネル反応器の設計により、90%から95%の高いCO転化率を実現。従来のFT反応技術と比べて6倍から10倍の高い生産性を確立している。
NEDOプロジェクトにて、Velocysの基本技術が使用されたバイオマス由来のSAF製造プロジェクトにおいて国際規格に適合するSAF製造と商用フライトへの給油を実現。現在は1日当たり1,500バレル以上の商業規模に向け、複数のプロジェクトを推進している。
【参照ページ】積水化学とVelocysがCO₂由来合成燃料(e-SAF)の製造技術構築に向けた戦略的提携を開始
【参照ページ】SEKISUI CHEMICAL and Velocys form a strategic partnership to advance CO2-derived e-SAF production technology
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