
コンサルティング世界大手米ボストンコンサルティンググループ(BCG)とサステナビリティ・サプライチェーン評価世界大手仏EcoVadisとは9月23日、サプライチェーンのカーボンニュートラル化に向けた提言をまとめた報告書「Carbon Action Report 2025」を発表した。
同報告書は、EcoVadisが保有する8.3万社、13.3万件以上のカーボンスコアデータを分析。スコープ3温室効果ガス排出量の削減を怠ると、2030年までに世界全体で企業は年間5,000億米ドル(約75兆円)以上のコストを抱える可能性があると警告した。これはS&P500企業のEBITの15%から20%に相当する規模。
コスト算定では、パリ協定に整合する1.5℃パスウェイから超過しているスコープ3排出分に、EUの二酸化炭素排出量取引制度(EU ETS)でベンチマークにされている1t当たり76米ドルを掛け合わせて計算されている。EUは2030年までに1t当たり120米ドルを超え、ボランタリーカーボン市場でも1t当たり100米ドルにまで上昇するとも見通しており、その場合にはさらにコストが増えることになる。
一般的な企業におけるスコープ3は、スコープ1と2の合計と比べて約21倍も大きい。しかし、現在スコープ3について報告している企業は24%に過ぎず、削減目標を設定しているのは8%しかない。
一方、BCGの分析によると、企業は1t当たり76米ドル以下の費用で、サプライヤーの排出量を50%削減可能。特に、排出量の3分の1は1t当たり12米ドル未満で削減できる。スコープ3削減への投資は、将来の炭素価格制度(カーボンプライシング)に伴うコストを回避し、3倍から6倍の投資収益率(ROI)が実現できるとした。
同報告書は、企業がこのリスクを機会に変えるための影響力の大きい5つのアクションを提案している。
- サプライヤー・エンゲージメント:温室効果ガス排出量の大部分を占めるサプライヤーと共同で排出削減活動を開始すること
- 排出量の測定:温室効果ガスの排出量を計測する仕組みを構築し、事業全体をモニタリングすること
- 気候変動に整合した管理チーム:全社の低炭素計画を策定し、責任を追う専任の管理チームの設置
- 気候移行計画(トランジションプラン):低炭素ビジネスモデルへの移行に向けた明確な全社計画の策定
- 排出削減予算:カーボンニュートラル化に関する専用予算の確保
また、スコープ3を原単位で削減できているサステナビリティ先進企業は、資本コストでも1.3ポイントのディスカウントを享受できていると分析した。
【参照ページ】Climate Inaction Could Cost Companies Over $500 Billion in Annual Liabilities Globally by 2030
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