
国連環境計画・金融イニシアチブ(UNEP FI)の国連責任銀行原則(PRB)は10月15日、第3回の隔年報告書を公表した。2019年9月の発足から6年が経過した。
PRBの現在の署名機関数は357。署名機関の地域別動向は、北米は13行と少ないが、欧州が170、アジア太平洋が72、中南米が60、アフリカ・中東が41で、世界中に拡大している。署名機関の総資産は世界の銀行全体の約半分となる98兆米ドルに達している。署名機関のサステナブルファイナンス動員額は12兆米ドルにまで積み上がっている。
PRBが掲げる6つの原則の進捗状況では、「アラインメント」では100%の署名機関が戦略にサステナビリティを統合。「インパクト」では、99%の署名機関がインパクト分析を実施し、80%がインパクト目標を設定しており、目標設定率は4年前と比べ50ポイント上昇した。目標設定では気候関連目標を設定している機関が92%と圧倒的に多い。金融インクルージョン目標の設定は65%。
「顧客エンゲージメント」でも方針を整備した署名機関が71%、「ステークホルダー・エンゲージメント」でも同じく79%となった。策定中まで含めると95%を超える。「ガバナンス・文化」では、99%が経営層レベルにガバナンス体制を設置。「透明性・説明責任」では、報告書公表が86%、第三者保証取得も56%となった。
PRB署名機関は、非署名機関と比べ、ファイナンスド・エミッションにおけるネットゼロ目標の設定割合が非署名機関の3倍に上り、サステナビリティ関連金融商品でも署名機関の90%が提供しているのに対し、非署名機関は44%にとどまっている。融資でのセクター方針の策定も署名機関が59%なのに対し、非署名機関は20%。
またPRB署名機関は、61%がMSCIのESG格付で「リーダー」評価を取得し、非署名機関の23%をはるかに上回る。またMSCIの分析では、署名機関の平均資本コストも1%低い。
最近の動向では、人権デュー・ディリジェンスを導入する銀行が急増しており、紛争地・移行期におけるリスク対応でも国連グローバル・コンパクト(UNGC)や国連開発計画(UNDP)の人権デューデリジェンス・ガイドを活用するところが多い。
今後の課題としては、コミットメントから実世界のインパクトを発揮していく段階へのシフトや、そのためのパフォーマンス測定の精緻化と共通指標の確立が示された。また、地域ごとの制度・資金アクセス格差への対応や、金融システム全体における金融フローの再構築と社会的レジリエンスの強化、透明性・説明責任の向上が挙げられた。
【参照ページ】Principles for Responsible Banking Third Biennial Progress Report
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