
アサヒグループホールディングス傘下のアサヒ飲料、伊藤園、キリンホールディングス傘下のキリンビバレッジ、コカ・コーラボトラーズジャパン、サントリーホールディングス傘下のサントリー食品インターナショナルは11月27日、5社が2024年11月に発足した「社会課題対応研究会」で、今後の5つの検討テーマを発表した。
同研究会は、物流2024年問題、温室効果ガス排出量削減、フードロス等をテーマとし、課題の共通認識や対応の検討を行い、社会課題の改善に繋げることが目的。2025年5月には、物流2024年問題への対策として、待機時間削減件数と荷役作業発生件数の共通削減目標を発表している。
【参考】【日本】飲料大手5社、物流の待機時間や荷役作業発生件数で共通削減目標設定。物流2024年問題(2025年6月3日)
今回の発表では、「納品時賞味期限の緩和」「更なる物流負荷改善」「ペットボトル・キャップの軽量化」「容器包装資材の効率化」「サプライヤー企業との再エネ利用促進 」の5つの検討テーマを設定した。
納品時賞味期限の緩和では、同一賞味期限のロットである製配販の取引において、製造ロットの逆転が起きないよう、製造ロット合わせのための輸送を実施しているが、その輸送が実現しない場合、商品が店頭に並ぶ前の段階で食品ロスが発生していることが課題となっている。
今後、物流2024年問題で更なるトラックドライバー不足が懸念されているため、清涼飲料等の賞味期間が長い商品においては、納品ルールが緩和されることで、製配販全体で物流2024年問題、食品ロス問題の改善に寄与できる見込みである。
同研究会による調査では、賞味期限または消費期限を気にする消費者は、精肉や牛乳等の日配品で最大約8割であるのに対し、加工食品では最大約2割だった。特に、ペットボトル飲料は賞味期限表示がないアイスクリームと同等の回答結果であり、店頭で1か月の賞味期限逆転が確認されても約87%の消費者が購入すると回答しているため、消費者の購買行動への影響は限定的と推察している。
(出所)キリンホールディングス
今後、農林水産省との情報交換や流通に関わる企業とともに、日付逆転品の納入受入に向けた運用テストや店頭調査の実施等の取り組み検討を進める。
2つ目の更なる物流負荷改善では、同業他社や異業種企業と往復輸送、共同配送等の取り組みを継続して推進。2025年5月に設定した目標として、待機時間削減件数では、待機時間1時間以上の件数を5社計で平均約40%削減。荷役作業発生件数では、5社計で平均約30%削減する。
次に、ペットボトル・キャップの軽量化では、欧州等で広く使用されている従来品より飲み口部の長さを短くしたペットボトル及びキャップについて、日本ならではの品質とユーザビリティを確保した仕様に進化した形での市場導入を目指し、研究開発及び導入の検討を開始。日本国内のすべてのペットボトルが軽量化統一規格となった場合、約5万tのペットボトル樹脂使用量及び約10万tの温室効果ガス排出量の削減が見込まれる。
4つ目の容器包装資材の効率化では、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減に繋げるため、キャップ、カートン、ラベル、リサイクルペットボトル・ラベルレスペットボトルを含むペットボトル等の容器包装資材の効率化の検討する。
最後に、サプライヤー企業との再生可能エネルギー利用促進では、サプライヤー企業の建物等に設置された太陽光発電パネルで発電された電力のうち、サプライヤー企業が自家消費しない余剰電力分の非化石証書の購入が可能となる新たなスキーム構築に向けて検討を開始する。同スキーム構築により、サプライチェーン全体での再エネ電力使用を推進することで温室効果ガス排出量削減に繋げる。同施策にはサッポロビールも参画する。
【参照ページ】飲料業界『社会課題対応研究会』持続可能な社会の実現に向けた新たな取り組みについて
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