
国連食糧農業機関(FAO)は7月14日、世界のコーヒー、カカオ、茶市場が需給ショックによる大幅な価格変動を引き起こしており、構造的な脆弱性に対処するための政策選択肢を提示した報告書「世界の飲料市場における価格変動:動向、要因、および影響」を発表した。
農産物の実質価格は、農業生産性の向上を背景に20世紀後半まで長期的な低下傾向を示していたが、2000年代以降は、新興国の所得・人口増加、農業研究開発投資の不足による収量成長の鈍化、バイオ燃料需要、エネルギー市場との連動等を受け、上昇する傾向にある。とりわけ飲料作物価格は2023年後半以降、一般の食品や農産原材料を上回る勢いで上昇。背景には、生産国の集中、世界需要の拡大、在庫の減少、異常気象や病害による供給不足がある。
コーヒーは約2,500万人の農家を支え、関連産業全体では年間2,000億米ドル超の収益を生み出している。世界生産は1994年から2024年に年平均1.9%増加したが、ブラジルとベトナムだけで約半分を占め、上位5輸出国の輸出シェアも48%から65%へ上昇した。一方、消費は年平均1.8%増え、とりわけ中国や東南アジア等の新興市場の伸びが大きい。2021年と2022年にはブラジルの旱魃と霜害、コロンビアの悪天候、物流費上昇が価格を押し上げた。2023年末以降も、ベトナムの旱魃、インドネシアの過剰降雨、ブラジルの高温・乾燥、在庫不足が重なり、国際指標価格は2025年2月に名目で過去最高の1kg7.8米ドルに達した。その後は供給見通しの改善により下落したものの、2025年末も高水準にあった。
カカオは世界で4,000万人から5,000万人の生計に関係し、生産の90%以上を約500万戸から600万戸の小規模農家が担う。コートジボワールが世界生産の約40%、ガーナが10%超を占め、両国への依存度が極めて高い。世界生産は過去30年間に年平均2%増えたが、その多くは生産性向上ではなく栽培面積の拡大によるもの。2024年度には乾燥とカカオ膨梢ウイルス病により、コートジボワールの生産が25.3%、ガーナが31.3%減少し、世界生産も12.9%減少した。価格は2024年4月に1kg9.7米ドル、2025年1月には10.7米ドルと過去最高を更新。その後、高価格による加工需要の減退、降雨の改善、エクアドルの増産などから、2025年12月には5.78米ドルまで下落している。
茶も生産の60%以上を小規模農家が担う。世界生産は1994年の約250万tから2024年には710万tへ増え、その半分以上を中国が占めた。コーヒーやカカオと異なり、生産量のうち国際取引されるのは25%程度にすぎず、生産国自身の消費が大きい。また、先物市場ではなく主要生産国のオークションが価格形成の中心となる。長期的には供給増加による実質価格の低下傾向がみられ、2025年の価格も前年比2.1%下落した。ただし、ケニア等の旱魃、スリランカの化学肥料禁止と経済危機、紅海航路の混乱等によって、局地的な急騰が繰り返されている。
今回の報告書は、ベイズ構造ベクトル自己回帰モデルを用い、…
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