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【EU】EU理事会、欧州会計検査院の再生可能水素政策特別報告書を歓迎。政策肉付けへ

 EU加盟国閣僚級のEU理事会は11月5日、欧州会計検査院(ECA)が7月に指摘した再生可能水素政策の特別報告書に関し、結論書を採択した。欧州委員会に対し、EU産業の競争力と投資の安全性の双方を支援する措置を講じるよう求めた。

 欧州委員会は2020年、EU水素戦略を採択。さらに2022年に採択したREPowerEU政策により、EU水素戦略を改訂し、再生可能水素を重視する政策と目標を打ち出している。再生可能水素は、再生可能エネルギー電力またはバイオマスを使用して製造された水素と定義されている。

【参考】【EU】欧州委、「EU水素戦略」採択。再エネ電力での水電解式の水素戦略に注力。2030年までに1000万t(2020年7月10日) 【参考】【EU】欧州委、REPowerEU採択。ロシア産天然ガス依存度低下へ28兆円。原発も言及(2022年5月20日) 【参考】【EU】欧州委、「再生可能水素」定義を委託法令で規定。追加性、時間的相関、LCA排出量等(2023年2月15日) 【参考】【EU】改正再エネ指令とReFuelEU Aviation規則が成立。再エネ2030年に42.5%以上に(2023年10月15日)

 一方、再生可能水素には、製造コスト、再生可能エネルギー電力と水の必要性等、独自の課題を抱えており、2022年にEUエネルギー消費に占める水素の割合は2%未満。製油所からの需要が最大の割合を占めている。それに対し、EUの2021年から2027年までの長期予算では、水素関連プロジェクトに188億ユーロ(約30兆円)を投入しているが、欧州会計検査委員は、欧州委員会が2030年目標としている再生可能水素生産1,000万t、輸入1,000万tの合計2,000万tの到達は厳しく、1,000万tにすら達しない可能性もあると言及。政策の見直しを勧告していた。

 現状の政策課題としては、再生可能水素市場の十分な将来見立てができていないことと、掲げた目標達成に向けたEU加盟国毎の目標設定義務がない法枠組が、主に指摘されている。EU全域での再生可能水素生産及び輸入の目標は、それ割り振ったEU加盟国単位の目標は未設定。さらに、再生可能水素生産関連ルールを制定したEU指令等では、コスト見立てが甘い上に、制定が遅れたことで投資も遅延したことも問題視した。2023年には再生可能水素や低炭素水素のコスト競争力を引き上げる措置も採択されたが、喫緊性が欠けているとした。コスト競争力の向上では、大規模な公共予算投下も不可欠だが、補助金の種類やプロセスが乱立しており、活用の障壁が高いとした。

 欧州会計検査院は、7月の特別報告書の中で、欧州委員会に対し、現実を踏まえた戦略的選択の意思決定、目標達成に向けたロードマップ策定と進捗モニタリング、加盟国単位補助金データの収集と適切性の評価、加盟国の許認可プロセスのモニタリング、支援と調整アクションの実践の5つを勧告している。

 欧州会計検査院からの勧告では、EU理事会は、見解を踏まえた結論書を採択することになっている。今回の採択された結論書では、欧州会計検査委員の報告書を歓迎。その上で、すでに重要法として、ガス・水素パッケージとネットゼロ産業法が制定されたことを強調しつつ、これらの法的枠組みが速やかに実施されることが重要とした。また、国境を越えた水素の輸送と貯蔵を促進し、生産者と購入者を結びつけるためには、欧州のネットワークの相互接続が非常に重要となると述べた。

【参照ページ】Hydrogen: Council calls for swift implementation of EU law and coordinated action for networks, industry and investors 【参照ページ】Renewable hydrogen-powered EU: auditors call for a reality check

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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