
投資運用世界大手米ブラックロックは1月9日、米国上場企業を対象とした2025年の議決権行使方針を公表した。
関心が高まる気候変動テーマでは、前年の方針を踏襲。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のIFRS S1とS2を支持。1.5℃目標達成の野心と2℃未満目標シナリオに関連する長期的なビジネスモデルのリスクと機会を管理するために、企業がどのようや戦略を採用しているを判断し、取締役会が株主の長期的な財務利益に適うように行動していないと判断した場合には、取締役選任議案への反対や、気候株主提案への支持の賛成もありうるとした。
同社は2024年7月に、グローバルに適用する気候変動に関する新たなスチュワードシップ・ガイドラインも発行しており、同ガイドラインを米国市場にも適用することもあらためて表明。同ガイドラインでは、「脱炭素スチュワード・オプション」サービスをアセットオーナーに提供し、同サービスを活用するアセットオーナーからの運用委託資産については、エンゲージメントや議決権行使で1.5℃目標と整合させることを明記している。
同社は同日、2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量ネットゼロ)にコミットする運用会社のイニシアチブ「Net Zero Asset Managers(NZAM)」からの脱退を決定しているが、今回の議決権行使方針からは、運用方針は変更せず、反ESG政治運動からの攻撃を躱す狙いがあることがうかがえる。
【参考】【アメリカ】ブラックロック、NZAMからの脱退決定。既存の気候変動方針は堅持(2024年1月11日)
一方、取締役ダイバーシティの項目に関して、「取締役会ダイバーシティ」から「取締役会構成」に名称を変更し、前年に掲げていた取締役女性比率30%もしくは2名以上、人種マイノリティの取締役1人以上の内容を削除した。背景には、米連邦最高裁判所の判決を考慮し、割当(クォータ)に関する方針が違法性を持つことを懸念した可能性がある。一方、今回の方針でも、S&P500の採用企業に関し、性別・ジェンダー、人種・民族、身体障害等に関する取締役会構成が「異常値」の場合には、指名・ガバナンス委員会の委員の取締役選任に反対することもありうるとした。同時に、取締役会構成を会社の戦略に合致させ、スキルと経験のギャップに対処し、ビジネスリスクとビジネス機会を効果的に監督することによりフォーカスする考えも示した。
【参考】【人権】ハーバード大、アファーマティブ・アクション違憲判決。企業への影響は(2023年7月9日)
また取締役構成に関しては、就任年数が短期、中期、長期の取締役をバランスよく選任すべきとし、不十分と判断される場合には、いずれかの取締役の選任に反対する可能性も伝えた。
さらに、今回の方針では、取締役会の監督に関する規定も厳格化した。取締役会が事業リスクと機会のマネジメント、及び会社の戦略の遂行を監督する上でのマイルストーンの実効性のある形で説明することを求め、戦略目標が大幅に未達成または大幅に修正された場合には、変更に関する詳細な説明と、修正された目標のレビューにおける取締役会の役割を示すことを求めた。背景には、企業自身にサステナビリティを含めた指標を企業自身に設定させ、ブラックロックに批判の矛先を向かわせない対策があるとも読み取れる。
同社は今回、同時に、米国以外の企業に適用する議決権行使方針も発表している。内容は米国企業向けの基本的には同じ。一方。グローバル向けでは「取締役の多様性」という表現を依然として使用している。
【参照ページ】Proxy voting guidelines for Benchmark Policies - U.S. securities
【参照ページ】Global Principles for Benchmark Policies
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