今回ご紹介する動画は、先月6月23日に東京で開催された「GBJシンポジウム2014」の様子。主催は日本でLEED(Leadership in Energy & Environmental Design)の普及を推進している一般社団法人グリーンビルディングジャパン(以下、GBJ)だ。
LEEDとは、米国の非営利団体USGBC(U.S. Green Building Council:米国グリーンビルディング協会)が開発・運用している任意の第三者評価・認証システムで、エネルギー効率や環境面、人々の健康、安全な材料の選択などに配慮した建造物やエリア開発に認証が与えられる。評価・認証にあたっては企画・設計から施工、運営・メンテナンスにいたるまでの幅広い項目が評価され、評価の総合点によってプラチナ、ゴールド、シルバー、認定という4段階の認証を受けることができる。
GBJはUSGBCと連携して日本でLEED普及に取り組む唯一の団体として2013年2月に設立され、従来からの日本の強みでもある環境建築技術をLEEDというプラットフォームを活かして世界に発信していくための取り組みを進めている。
LEED認証の取得は建造物の環境性能・エネルギー効率の高さを示す客観的な指標として資産価値の向上にもつながるため、現在世界全体で急速に普及が進んでおり、2013年5月時点でLEED申請中・認証済み建造物は52,000件を超えている。
アジアでは中国で急速に普及が進んでいるほか、東南アジア諸国でも徐々に認証件数が増えつつある。日本は2013年5月時点でLEED認証を受けた建造物は33件であったが、2014年7月時点では52件まで認証実績が増えた他に74プロジェクトが現在認証を目指しての取り組みを進めており、今後の本格的な市場の拡大が期待されている。
また、USGBCによれば2015年までにビルマーケット全体の40?48%がグリーンビルディングとして建設されると予測され、その全体の価値は1200?1450億ドルになると推定されている。気候変動が世界共通のグローバルイシューとして認識される中、グリーンビルディング市場は今後も非常に高い成長性が見込まれている。
こうした世界的なグリーンビルディング推進の流れを受けて開催されたのが今回のシンポジウムだ。今回のテーマは「オリンピック・パラリンピックにおけるグリーンビルディング」。
当日は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本は今後どのようにグリーンビルディングの取り組みを推進し、この分野でリーダーシップを発信していくべきかについて、USGBCで国際担当ディレクターを務めるJennivine Kwan氏、COOを務めるMahesh Ramanujam氏らをゲストに迎えて話し合われた。
オリンピックというと競技や選手ばかりに目が行きがちだが、2008年の北京オリンピック・パラリンピック以降、特に大会のテーマとして重要性が増してきているのが「サステナビリティ」だ。特に2012年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピックは、大会の準備段階から大会開催期間中、そして開催後にいたるまで全ての過程においてサステナビリティの概念が中心に据えられた大会として有名で、史上最も環境に優しい大会だと言われている。
2020東京オリンピック・パラリンピックにおいても、引き続きサステナビリティが大会の中心テーマとなることは間違いない。その意味で、今回のオリンピック・パラリンピック開催は2020年に向けて日本におけるグリーンビルディングを推進し、更に大会を通じてその取り組みや成果を世界にアピールする絶好の機会だと言える。
また、オリンピックに限らずとも建築の分野からサステナビリティ向上に取り組むグリーンビルディングの概念は今後、業界を問わず主たるトレンドとなっていくはずだ。既に世界では多くの企業や団体がこの分野にビジネスチャンスを見出し、不動産業界、建設業界、エネルギー業界、素材メーカー、建築資材メーカー、環境配慮型商品・サービス開発企業、環境コンサルティング会社など幅広い業界、業種のプレイヤーが一緒になって大きなうねりを作りだしている。
日本におけるLEEDの普及はまだ始まったばかりだが、環境建築は日本が強みを持つ分野の一つでもある。LEEDというグローバルの共通言語を上手に活用しながら日本のグリーンビルディングにおける国際的なプレゼンスを高めていくことができれば、産業界にとっても非常に大きなインパクトが生まれるはずだ。
ぜひ今後のGBJの活動に期待したい。
【団体サイト】Geen Building Japan
【参考サイト】U.S. Green Building Council
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