
欧州委員会は9月5日、米アルファベット傘下のグーグルに対し、オンライン広告分野で競争法に違反したとして29億5,000万ユーロ(約5,100億円)の罰金を科した。また同社に対し、今後60日以内に改善措置を欧州委員会に報告するよう命じた。
同事案は、欧州委員会が2021年6月に公式調査を開始。2023年6月に欧州委員会はグーグルに対し異議申立書を送付し、同社は2023年12月に応じていた。
同事案では、欧州委員会は、 パブリッシャー向け広告サービス「DoubleClick For Publishers(DFP)」市場と、「Google Ads」および「DV360」によるオープンウェブ向けプログラム広告購入ツール市場の双方で支配的地位にあると判定した。
その上で、同社が2014年以降、「DFP」が運営する広告選定プロセスで、競合他社の最高入札額を自社の広告取引所「AdX」に事前に通知する等、AdXを優遇した点と、広告購入ツール「Google Ads」と「DV360」が「AdX」に入札を行う方法において、自社の広告取引所「AdX」を優遇したことの2つを競争法違反と認定した。
罰金額の決定では、欧州委員会は違反行為の期間・重大性に加え、違反行為に関連するAdXの欧州経済地域(EEA)域内売上等を考慮。同時に、同社が過去に支配的地位の濫用で罰金処分を受けた事実も加味した。是正措置では、自社サービスを優先的に取扱う慣行を終了するよう命じた。60日以内の改善措置報告の後に、対策が不十分と判断されれば、是正措置命令が発出される。また、当該行為による悪影響を受けた当事者が、民事での損害賠償を請求できるとした。
同事案に対しては、米国でも競争法の裁判が行われており、米連邦地方裁判所は9月2日、同社に対し、競争法違反の判決を下している。内容は、Google検索、Chrome、Googleアシスタント、Geminiアプリの流通に関する独占的契約の締結または維持を禁止。競合他社及び潜在的な競合他社に対し、特定の検索インデックスとユーザーインタラクションデータを提供することも命じた。さらに、競合他社および潜在的な競合他社が競争できるようにするため、検索及び検索テキスト広告の配信サービスを提供することを命じた。但し、グーグルの事業分割については命じなかった。
米国IT大手を巡る動向では、1月に第2期トランプ政権が誕生して以降、米政府は、EUが米国IT大手に罰則や制約を課す行為について嫌悪感を示している。
欧州委員会の今回の措置でも、欧州委員会は、「米司法省が調査した行為とほぼ同様の行為について、グーグルによる支配的地位の濫用が存在すると委員会が結論付けたことは、2025年9月22日に開始予定の米国における救済措置に関する裁判を控えても重要な意味を持つ」と説明。米政府が下した判断をEUとしても追認しているだけとの姿勢を強調。今回の発表タイミングについても、米国での裁判結果を踏まえて最終決定したとも言える。
加えて、欧州委員会は、同事案の予備的見解の段階で「グーグルがサービスの一部を売却することのみが内在する利益相反状況を解決する」方法との認識を示していたが、今回は態度を保留し、まず同社側の提案を評価する意向を示した。
【参照ページ】Commission fines Google €2.95 billion over abusive practices in online advertising technology
【参照ページ】Department of Justice Wins Significant Remedies Against Google
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