国際環境NGOのThe Climate Group(TCG)が運営する事業電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目指す国際イニシアチブ「RE100」は10月24日、加盟基準要件の改訂を発表した。3月から実施したパブリックコメントを経て、RE100のテクニカル・アドバイザリー・グループ(TAG)で最終決定した。
変更内容の1つ目は、活用する再生可能エネルギー電力の発電所が、過去15年以内に運転開始または再運転開始されたものに限定される。これにより、RE100加盟企業が、既存の再生可能エネルギー電力に依存するのではなく、新たな電源開発までを進めるよう仕向ける。また発電側に関しても、運転開始時期の公表を強いることで、電源の透明性を高める。例外措置としては、企業グループの世界全体の全消費電力のうち15%までは期日要件が免除されるが、RE100は期日要件が免除された電源活用を段階的に削減していくことも推奨した。
日本企業への影響では、再生可能エネルギーの電源の多くが水力発電由来だが、ほぼ全ての水力発電所は15年以上前に建設されているため、期日要件を満たさない。また、トラッキング付き非化石証書等の電源証明でも、運転開始及び再運転開始からの期日が確認できるスキームになっていない。
変更内容の2つ目は、電源証明で活用できる市場の範囲を規定する「単一市場ルール」。RE100は、消費電力と同じ電力市場での電源証明を取得できることを以前からルールとして課していたが、今回は欧州市場での「単一市場」の定義を明確化。これにより、EUの単一市場に加盟、欧州エネルギー証書システム(EECS)の原産地保証を発行する発行機関協会(AIB)に加盟、これら2つのルールを満たす他国への系統接続が存在する、のいずれかを満たさなければいけないことが決まった。
日本企業への影響では、欧州のグループ会社でのRE100要件適合の際に、ルール遵守を確認する必要が出てくる。パブリックコメントでの資料では、アンドラ、ブルガリア、リヒテンシュタイン、マルタ、モナコ、ポーランド、ルーマニア、サンマリノ、英国、バチカン市国が、欧州単一市場には属していないと明記されており、各々の国内で電源証明を取得する必要が出てくる。
【参照ページ】RE100 updates its technical criteria to accelerate corporate impact
【参照ページ】RE100 TECHNICAL CRITERIA
【参照ページ】Open consultation around proposed changes to the RE100 technical criteria
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