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【イギリス】フェイスブック、租税回避行動に変化。大手取引先への請求書を英国から発行

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 SNS最大手の米フェイスブックは、今年4月から英国内大手取引先企業への請求書を、従来のフェイスブック・アイルランドからではなく、フェイスブック・英国から発行する方針を大手取引先企業に伝えた。3月4日複数紙が一斉に報じた。

 フェイスブックはこれまで北米地域以外からの広告売上に関しては、国際事業本部を置くフェイスブック・アイルランドで計上し、さらにフェイスブック・アイルランドから、ケイマン諸島に本籍を置くフェイスブック・アイルランド・ホールディングスにロイヤリティーフィーとして支払うスキームを採用していた。4月以降は、英国小売大手のテスコやセインズベリー、また広告代理店のWPP等の英国大手企業との取引に関しては今後はフェイスブック・英国から請求書を発行する。それ以外の英国中小規模企業がオンラインプラットフォームから広告を申し込むものについては引き続きフェイスブック・アイルランドから請求書を発行する。

 フェイスブックは今年1月、米国証券取引委員会向けの提出書類の中で、大半の広告事業顧客はオンラインプラットフォーム上のセルフサービス機能を用いてアカウント作成と広告発注を行っていると説明した。一方で、フェイスブック・英国には850名以上の従業員を有し、さらにロンドンに新たな現地本社を建設中。イギリス政府もまた同社の太陽光発電を利用したドローンによる通信網拡大を支援するなどフェイスブック・英国の事業内容は拡大を見せている。

 今回の発表に関して、英国の財務省報道官は英国の新税制が功を奏したとの見方を示している。相次ぐ大企業の租税回避に関し、英国財務省は2015年4月に「移転利益課税(Diverted Profits Tax)」制度、通称「グーグル税制」を導入した。この税制のもとでは、企業が所得を海外に移転させた場合、移転所得に対して21%となっている英国の法人税率よりも高い25%の法人税率が課せられる。

 しかしながら、フェイスブック・英国の今回の方針展開が、実際にどれだけ英国への法人税納税を増やすかは未知数だ。これに続く3月6日、英国Sunday Times紙は、フェイスブック・英国が今後3年間に渡り巨額の株式賞与を支払う計画であることを報じた。3年間の株式賞与の総額は2億8,000万ポンド(約450億円)、従業員一人当たりにすると77万5,000ポンド(約1億2,500万円)にのぼる。但し、この計画により英国への納税額そのものは増えるという見方もある。英国では法人税が20%である一方、個人所得税は最大45%の税率で課税されるためだ。

 租税回避の倫理的側面については依然論点は明確ではない。租税回避という言葉が持つそのもののイメージは悪いが、具体的に租税回避の仕組みを見ていくと倫理では判断できない点が多く、「総論反対・各論不明確」とでも言える状況だ。アベノミクスでも企業の給与アップを叫ぶ中、フェイスブック・英国の株式賞与が適正値を超えているのか、そもそも何をもって適正値と考えるのか、はっきりとした考え方はまだない。税当局は租税回避への課税強化に躍起になっているが、最終的な法理については将来の裁判所での議論が鍵を握りそうだ。

【企業サイト】Facebook
【参考サイト】Facebook to pay millions more in UK tax

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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