
民間団体・人口戦略会議は4月24日、「令和6年・地方自治体「持続可能性」分析レポート」を公表。最新の「消滅可能性自治体」データを発表した。
「消滅可能性都市」とは、「若年女性人口が2020年から2050年までの30年間で50%以上減少する自治体」と定義されている。「消滅可能性都市」に関しては、2014年5月に日本創成会議が初めてリストを発表し、今回は10年ぶりの発表となった。人口戦略会議と日本創成会議は別団体だが、日本創成会議の座長だった増田寛也氏が人口戦略会議の副議長に就いている。
消滅可能性都市の特定は、5年に一度実施されている国勢調査の統計をもとに、国立社会保障・人口問題研究所が発表している「日本の将来推計人口(2023年版)」が基になっている。国立社会保障・人口問題研究所は2023年4月に全国版推計を、同12月に自治体別推計を発表。人口戦略会議は、この自治体推計データを基に、消滅可能性都市の定義に当てはめて計算している。
【参考】【日本】2023年将来人口推計発表。2070年に8700万人。コロナ禍で減少加速も外国人増上積み(2023年4月28日)
【参考】【日本】2023年自治体別将来人口推計発表。東京都以外は2050年に75歳以上人口が2割以上(2023年12月23日)
消滅可能性都市の数は、前回の896自治体から711自治体に減少した。前回、東日本大震災時の福島第一原子力発電所事故の影響による異常値で統計把握が困難なため対象外となった福島県の自治体を含めると今回は744となった。
前回から消滅可能性都市が減少した要因は、外国人国内居住人口の増加。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(2023年版)」では、合計特殊出生率は、新型コロナウイルス・パンデミックで下がり、長期的投影水準は、前回推計の2065年で1.44から、2070年で1.36にまで低下すると仮定した。日本人の外国移住数も人口減少により減る。一方、外国人の入国超過数が前回推計より大きく増えた。
また、人口戦略会議の集計手法も変更されている。前回は政令指定都市は区毎にカウントされたが、今回は政令指定都市単位で1カウントとなった。一方、福島県については前回は県単位で1カウントだったが、今回は、浜通り地域は引き続き集約して1カウントだが、それ以外は自治体単位で46カウントとなった。
今回の統計では、消滅可能性自治体のうち、自治体外からの転入の影響を除外し、出生と死亡だけの要因で人口が変化すると仮定した推計結果「封鎖人口」も公表した。結果、若年女性人口減少率が改善した自治体が362、若年女性人口減少率が悪化した自治体が283あった。
東京都では、新宿区、文京区、台東区、墨田区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、杉並区、豊島区、北区、荒川区、板橋区、練馬区が「ブラックホール型自治体」と呼ばれ、若年女性人口の減少率が50%未満だが、封鎖人口における減少率が50%を超えており、人口流入によって消滅を防いでいることもわかった。同様の状況にあるのは、埼玉県蕨市、埼玉県毛呂山町、千葉県浦安市、千葉県酒々井市、京都府京都市、大阪府大阪市。
【参照ページ】【人口戦略会議・公表資料】『地方自治体「持続可能性」分析レポート』
【参照ページ】全国市区町村別「20~39歳女性」の将来推計人口
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