ネスレグループのネスプレッソは8月27日、サステナビリティ戦略の更なる推進に向けて今後6年間で5億スイスフランを投資すると発表した。
「The Positive Cup(ポジティブ・カップ)」と名付けられた同社の戦略は、ネスレのCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)の概念をベースとし、過去5年間に渡りネスプレッソが積み上げてきた農家の生活向上やコーヒーの調達・消費における環境面のサステナビリティ推進への取り組みに基づいている。
ネスプレッソのCEOを務めるJean-Marc Duvoisin氏は、「我々のサステナビリティへの取り組みは、いつも単に環境への悪影響を最小化するだけにとどまらない。パートナーと共に革新的なプログラムを開発することで共通価値を創造し、バリューチェーン全体における全てのステークホルダーにポジティブ・インパクトを生み出すことをコミットしている。今回の5億スイスフランの投資も、我々のビジネスモデルの長期的な成功を確実にするために現在行っているサステナビリティ投資に基づくものだ」と語る。
ポジティブ・カップでは、6年後の2020年までのサステナビリティ目標が設定されており、コーヒー調達、社会福祉、アルミニウムの調達・使用・廃棄、そして気候変動へのレジリエンスに焦点が置かれている。具体的な目標は下記の通り。
1. 100%サステナブル調達によるコーヒー
- Nespresso AAA Sustainable Quality™ Program(以下、AAAプログラム)を通じ、「Grand Cru(グランクリュ:特級)」コーヒーを100%サステナブル調達
- 2003年からのRainforest Alliance(レインフォレスト・アライアンス)およびFairtrade(フェアトレード)とのパートナーシップを通じ、水資源管理、生物多様性、労働者の人権など、農家の高い認証基準の達成を支援
- コロンビアの農家に向けた退職基金を通じて始まったAAAファーマーフューチャープログラムの拡大など、農家の生活向上に向けた革新的ソリューションの実現
コーヒーの100%をAAAプログラムを通じて調達するという目標を実現するためには、アフリカにおけるAAAプログラムの拡大が重要な意味を持つ。そのため、ネスプレッソは今後1500万スイスフランをケニアおよびエチオピアに投資するほか、南スーダンにおける高品質なコーヒー生産の再活性化も計画している。
2. 100%サステナブルなアルミニウム
- 使用済アルミニウムカプセルの回収率を100%まで高め、リサイクル率も向上
- 企業が回収したネスプレッソカプセルを新しいカプセルにリサイクル
- 全てのカプセルは100%、Aluminium Stewardship Initiative standard(アルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブ基準)を遵守したアルミニウム素材を使用
3. 100%カーボンインセット
- カーボンフットプリントを更に10%削減
- 100%カーボンニュートラルを目指す
ネスプレッソはAAAコーヒーの生産エリアで1千万本の植樹を実施し、農場の気候変動に対するレジリエンス向上に取り組んでいる。このように自社が排出するカーボンフットプリントを自社のバリューチェーン内で相殺する取り組みはインセットと呼ばれる。
なお、今回新たに投資される5億スイスフランの一部は、新たなサステナブル・デベロップメント・ファンドの創設に使用される予定だ。
【企業サイト】Nestlé Nespresso SA
(※写真提供:Rob d / Shutterstock.com)
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