オンライン上でステークホルダーとディスカッションができるツールを運営している米国のスタートアップ企業Convetitは10月1日、同社のオンラインプラットフォームConvetitに新たにMateriality Mapping Toolというマテリアリティ特定のためのマッピング機能を追加したと発表した。
同機能は、オンライン上の議論に参加しているステークホルダーとインタラクティブなやり取りを通じてマテリアリティのマッピング作業を行うことを可能にするもので、GRIの提唱するガイドライン、G4が要求しているマテリアリティの特定に関する事項に対応したサステナビリティ報告をサポートする。詳しくは、下記のデモ動画を見て頂くのが分かりやすい。
Convetitの共同創業者兼CEOのTom O’Malley氏は「Convetit ThinkTanksは、主要なステークホルダーとグローバルの時間差を気にせず都合の良いタイミングでインタラクティブなコミュニケーションを行うという、効率的かつ効果的な新しい体験を提供する。そして企業はその対話の中で、Materiality Mapping Toolを用いて自社のマテリアルなサステナビリティ課題をステークホルダーと協力しながら特定、優先順位づけ、確認、評価することができる」と説明する。
また、同氏は、Convetitを利用することで「個々の会議や電話会議、ウェビナーなどのような従来のリアルタイムのエンゲージメントによるコストや日程調整の手間、カーボンフットプリントなどを削減することができ、企業およびステークホルダーに対し、有意義でより深い対話の、日常業務への統合を後押しする」とそのメリットを語る。
Convetitの優れた点は、利用者がマテリアリティ・マッピング作業をよりスムーズにスタートできるように、サステナビリティ調査・研究のGovernance & Accountability Institute(以下、GA Institute)と協力し、同社が1,200以上のGRIに準拠したサステナビリティ報告書(”What Matters”)の分析に基づいて特定した、35のセクター毎の15のマテリアリティ課題を、最初のテンプレートとして利用できる点だ。
GA Instituteの副社長を務めるLou Coppola氏は「我々のWhat Mattersの調査は、ConvetitのMateriality Mapping toolにとって完璧なスタート地点となる。1,200以上のサステナビリティ報告書の中で同業他社が最も頻繁に言及している15のマテリアリティ課題が分かっていれば、あと重要なのは自社のステークホルダーが、その課題が自社にとっても最重要課題であるということに同意するかどうかを確認することだけだ」と語った。
Convetitのサービスは、コーポレート・サステナビリティの分野におけるステークホルダーエンゲージメントとマテリアリティ特定に対する昨今の注目の高まりを受けて生まれたものだ。
サステナビリティ報告に関わるガイドラインとしては、GRIの掲げるG4の要求に加えてSASB(Sustainability Accounting Standards Board)が業界ごとのマテリアリティ特定を実施しているほか、IIRCもマテリアリティおよびステークホルダー・リレーションシップの両方をガイドライン原則に含めているなど、ステークホルダーエンゲージメントとマテリアリティ特定がレポーティングの中心的要素となりつつある。
ConvetitのMateriality Mapping Toolは、先日ボストンで開催されたSustainable Brands #NewMetricsのイベントでも紹介されており、Strategic Sustainability Consultingの代表を務めるJennifer Woofter氏は「過去に80以上のサステナビリティ支援オンラインツールを試してきたが、Convetitはその中でももっとも効果的で強力なツールの一つだ」と評価する。
近年、サステナビリティの分野ではオンラインテクノロジーを利用した企業支援ツールが新たな市場として盛り上がりつつある。今後はこれらのツールを企業がどのように自社のサステナビリティ活動に統合し、成果につなげていくかが問われそうだ。
【企業サイト】Convetit
【企業サイト】Governance & Accountability Institute
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