WRI(World Resources Institute、世界資源研究所)と、環境活動への市民参加を促進するThe Access Initiativeは5月20日、世界初となるEDI(Environmental Democracy Index:環境民主主義指標)を発表した。同指標は世界70カ国における環境に関する政治的意思決定の透明性や説明責任などを世界140名以上の弁護士や専門家の協力のもとで評価、格付けしたものだ。
EDIは環境分野の市民参加原則を促進するためにUNEPが策定した「パリ・ガイドライン」への適合性を示す指標として作成されたもので、情報アクセス権、意思決定参画権、司法アクセス権の3つを柱に375の法律指標(法規制の有無)と24の実施指標(実施状況の有無)に基づき各国の法規制が国際的な基準に沿っているかを評価している。
初回となる今回のランキングでは、上位10カ国が1位リトアニア、2位ラトビア、3位ロシア、 4位米国、5位南アフリカ、6位英国、7位ハンガリー、8位ブルガリア、9位パナマ、10位コロンビアという結果となった。なお、日本は32位だった。ランキングは2年ごとに再調査、更新される予定だ。
ウェブサイトではこのランキングに加え、強み、弱み、政府からのコメント(回答をもらった時点で掲載)などが掲載された国別の状況ページや、任意で国を選んでできる比較ページも見ることができる。
全体の傾向としては、評価対象となった70カ国のうち、93%の国は環境関連情報を公開しているものの、45%は安価かつタイムリーには入手できない状況にあり、市民参加に関する法整備が遅れている国が79%もあった。また、46%の国は首都の環境大気質の情報をオンラインで公開していなかった。
さらに、貧困との関係についても面白い結果が出ており、国の富裕度は重要であるものの、インドネシア(17位)、カメルーン(22位)、インド(24位)、ニカラグア(28位)など比較的貧しいとされる国でも指標が上位になるケースがあった。
国連の環境と人権問題の特別審査官を務めるJohn Knox氏は「今まで、各国の環境の権利を分析、比較した指標はなかった。これは70か国の環境民主主義を誰もが確認できる初めての指標だ」と高く評価している。また、WRIのグローバル・ディレクターを務めるMark Robinson氏は「2015年にも環境や持続可能性に関する大切な決断が行われる。その際、ガバナンスと環境に関する権利を向上させることは、とても重要だ。この指標は政府がより透明性の高い活動を行い、市民が自分たちの権利を主張する助けになるだろう」と述べている。
環境に関する情報公開の状況だけでなく市民参加の状況も評価し、各国の課題も明確に提示している同指標は、各国の政策立案者はもちろん、人権活動家や法律専門家、世界各国で事業を展開しているグローバル企業など様々な立場の人々にとって強力なツールになりそうだ。
【参照リリース】WWF and Apple Commit to Help Protect China’s Forests
【団体サイト】World Resource Institute(WRI)
【団体サイト】The Access Initiative
【参考サイト】The Environmental Democracy Index
(※写真提供:FiledIMAGE / Shutterstock.com)
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら