フランスの公的積立年金基金FRR(フランス年金準備基金)は12月15日、同基金が運用するポートフォリオから、たばこ関連企業と、売上の20%以上が石炭採掘または石炭火力発電事業の企業の株式および債券を除外する方針を発表した。この提案は執行部がとりまとめ12月1日の諮問理事会で承認された。これによりFRRはたばこ及び石炭からのダイベストメント(投融資引き上げ)を実施していくこととなった。
FRRはフランス政府が設立した公的年金基金。フランスの年金制度は賦課方式を基本とし積立金は発生していなかったが、将来の高齢社会を見据え2001年に積立型の年金基金が2つ設立された。そのうちの一つがFRRで、もう一つがERAFP(公務員退職年金補完基金)。FRRの財源は国家の社会保障予算や老ネイ年金の保険料の一部などから供給されている。FRRは2020年末までの時限的機関として積立金を管理・運用している。
FRRは、たばこダイベストメント実施の理由について、喫煙による健康被害が多くの人に死因となっていることを挙げた。たばこ企業にエンゲージメント実施したばこ消費量の削減を求めたとしても、それはすなわちたばこ企業の事業そのものを停止を提案することになってしまうことから、エンゲージメントではなくダイベストメントという手法を採ったという。
また、石炭ダイベストメントに関しては、パリ協定で2℃目標が定められ、政府やNGOが石炭資源を問題視しはじめていると述べ、石炭採掘が売上20%以上を占める企業と、電力、蒸気、熱生産の20%以上を石炭(一般炭及び褐炭)資源で調達する企業をポートフォリオから除外するとした。例外措置として、炭素回収・貯蔵(CCS)設備を導入している企業、またはすでに石炭からの脱却を表明している企業は除外しない。
今回決定した措置は、50億ユーロをESGベンチマークを用いたパッシブ運用を義務化する方針及び既存の債券運用方針に基づき、2017年を通して実施される。それにより、FRR保有資産の95%で今回のダイベストメントが展開されることとなる。
【参照ページ】FRR EXCLUDES THE TOBACCO SECTOR AND WITHDRAWS FROM COAL
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