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【国際】CDP、2019年サプライチェーン報告書を公表。日本は11社・機関が参加。環境リスク額も算出

 国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは12月9日、サプライチェーンプログラムの今年度報告書「サプライチェーン報告書」を公表した。CDPの報告書は、従来からのCDPプログラムである「気候変動」「ウォーター(水)」「フォレスト(森林)」の3つを、サプライチェーンという観点で改善していくために開始されたもの。毎年、年明けに報告書が出ていたが、今年は年内発表となった。

 CDPサプライチェーンプログラムの会員企業数は現在125社で、購買力総計は約3.6兆米ドル(約400兆円)。

 プログラムそのものを牽引するプレミアム・メンバー企業は、マイクロソフト、スタンレー・ブラック&デッカー、ウォルマートの3社。リーディング・メンバー企業は、アルファベット、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、ブラスケム、デル、グルポ・ビンボ、インペリアル・ブランズ、JTインターナショナル、ジュニパーネットワークス、ケロッグ、フィリップス、ロレアル、NRGエナジー、フィリップモリス、Signify(旧フィリップスライティング)、ターゲット、レゴ、ヴァージン・マネー、ウェルズ・ファーゴ。日本たばこ産業子会社のJTインターナショナルを除けば、日本企業はいない。

 通常の企業会員では、日本企業からも、味の素、ブリヂストン、富士通、本田技研工業、花王、環境省、三菱自動車、NEC、日産自動車、積水化学工業、トヨタ自動車が参加している。

 会員企業は、サプライヤーに対して、気候変動や水などの環境リスクの開示を求めており、気候変動対策に強いサプライチェーンを構築することを目指している。会員企業と会員企業に指名されたサプライヤーは、毎年CDPに対して気候変動やウォーター、フォレストの質問票に回答をし、情報を開示することが求められる。今回気候変動に関する調査票が送付されたサプライヤー企業数は全部で13,065社。そのうち、6,892社が回答を寄せた(回答率53%)。同様に、ウォーターに関する調査票が送付されたサプライヤー数は3,746社。そのうち回答を寄せた企業数は1,975社(回答率53%)。フォレストに関する調査票送付は536社、回答を寄せたのは334社(回答率62%)。

 今回の報告書では、気候変動質問票に回答を寄せた企業6,892社による二酸化炭素排出量(スコープ1と2)の合計は、79億7,600万tに達し、米国とカナダの合計量を上回る。排出削減量の合計は5億6,300万tとなり、コスト削減効果は202億米ドル(約2.2兆円)となった。

 同サプライヤーらは、総電力のうち平均11%を再生可能エネルギーで賄っている。この割合を20%ポイント上昇させ、31%にまで引き上げることで、1Gtの二酸化炭素排出量を削減できるとした。世界の二酸化炭素排出量は、2017年から2018年の間に1Gt増加し、約37Gtに達している。1Gtは、2017年ブラジルとメキシコが化石燃料の活用により排出した二酸化炭素排出総量と同等。

 一方で、調査対象となったサプライヤーのうち、再生可能エネルギーの目標を報告していたのは、わずか4%だった。こうした事態への対処として、RE100加盟企業のアンハイザー・ブッシュ・インベブ、アクセンチュア、BTグループ、シグニファイ、レゴらを含む大手企業31社は7,416億米ドル分の電力を再生可能エネルギーで調達。CDPと協働でサプライヤーへのエンゲージメントを行った。RE100とは、事業運営を100%再生可能エネルギーで調達することを目標に掲げる企業が加盟するイニシアチブ。2019年12月4日時点で、世界全体で216社が加盟している。

【参考】【エネルギー】RE100と現在の加盟企業 〜再生可能エネルギー100%を目指す企業経営〜

 同レポートによると、サプライヤーは、合計1兆米ドルの環境リスクによる経済的影響を被る。内訳は気候変動リスク9,060億米ドル、潜在的な水リスク780億米ドル、森林破壊リスク160億米ドル。大企業42社(調査回答者の95%)は、CDPデータを含む環境指標をサプライヤーとのリレーションシップ・マネジメントに組み込んでいる、または2年以内に組み込む予定だとした。

【参照ページ】Supply chains hold the key to one gigaton of emissions savings, finds new report

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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