高級アパレル世界大手仏シャネルは3月10日、長期的な気候変動戦略「シャネル・ミッション1.5」を発表した。パリ協定で定められた1.5℃目標と整合性のある形で2030年目標を設定した。シャネルは2019年の時点で、すでにカーボンオフセットを通じて二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現しているが、排出量そのものを削減しにいく。
今回の戦略では、2030年までにシャネルの自社での二酸化炭素排出量を総量で2018年比50%、原単位で66%削減する。またサプライチェーンでも2030年までに原単位で2018年比40%削減する。これらの目標では、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)からも承認された。
目標の達成に向け、まず2025年までに自社事業の電力を100%再生可能エネルギーに切り替える。再生可能エネルギー100%での事業運営イニシアチブ「RE100」にも加盟した。2019年の時点での再生可能エネルギー比率は41%で、これを2021年には97%まで上げる。
サプライヤーに対しては、原材料の生産・調達、製品の設計・生産・輸送・流通の再検討をサプライヤーとともに実施していく。
それでも二酸化炭素を排出してしまう分については、森林、マングローブ林、泥炭地の保護や再生を通じてオフセットしていく。オフセットでは、自主的カーボンオフセットの信頼性評価を行う国際NGOのInternational Carbon Reduction and Offset Alliance(ICROA)が策定した基準に準拠したものや、VCSやCCBA等の高い認証基準のもののみを活用する。
【参考】【国際】IOCとダウ、国際競技連盟と国内オリンピック委員会にカーボンオフセットを共同提供。CO2削減狙う(2019年8月29日)
同戦略は、気候変動適応も打ち出している。地球環境ファシリティ(GEF)に採択されたLandscape Resilience Fundへの支援や、原材料や包装・容器で新技術を開発できる企業への投資も加速する。
【参照ページ】CLIMATE REPORT
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