英金融規制当局のイングランド銀行の健全性監督機構(PRA)は3月20日、新型コロナウイルス・パンデミックで経営的な負荷を抱える規制金融機関に配慮し、業務負荷軽減策を複数発表した。金融機関に対し、取引先の資金需要に応え、信用収縮を抑制することを優先する。
まず、毎年シクリカル・シナリオを基に大手8銀行と不動産管理会社に実施していたストレステストを2020年は中止する。すでにイングランド銀行の金融政策委員会(FPC)も、バーゼルⅢに基づき設定されたカウンター・シクリカル・バッファー・レートをすでに0%に引き下げることを決定しており、金融機関が貸出残高を維持もしくは増加しやすい状況を整えている。前年のストレステストでは、対象金融機関の財務健全性は高いと判断されたため、今回は1年間見送っても大丈夫だと判断した。
二年毎に実施している「隔年調査シナリオ(BES)」によるストレステストでは、流動性に関するテストの結果は、2020年中旬に2019年実施分の結果を発表することになっていたが、一旦延期する。流動性を引き締め方向に向かわせない狙いがある。一方、2019年12月に発表していた気候変動ストレステストに関する内容はむしろ前倒しする。当初は2021年に概要案を発表する予定だったが、2020年夏に発表することにした。
【参考】【イギリス】イングランド銀行、気候変動ストレステスト概要案発表。2021年から2年毎にシナリオ分析実施(2019年12月22日)
IFRS第9号「金融商品」(IFRS9)で規定されている「信用損失評価(ECL)」の算出についてもガイダンスを策定する考えを明らかにした。ECL算出では、将来を見通した上での評価額算出を要求しているが、新型コロナウイルス・パンデミックの状況では、将来影響を見通すことが非常に難しいと認識し、イングランド銀行として考え方のガイダンスを発行する。
英金融当局のFCA(金融行為規制機構)と共同で実施しているオープンエンド型ファンド向けの調査実施も停止する。
【参照ページ】Bank of England announces supervisory and prudential policy measures to address the challenges of Covid-19
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