国際決済銀行(BIS)のバーゼル銀行監督委員会(BCBS)は4月30日、気候変動に関する金融システミックリスクの対策に関し、加盟国の金融監督当局向けに実施したサーベイ結果を発表した。回答した国・地域数は27。日本からは日本銀行と金融庁が回答した。
BISは、気候変動による金融システミックリスク対策を検討する組織として「気候関連金融リスク・タスクフォース(TCFR)」を設置。サーベイ実施、分析レポートの作成、金融監督当局が採用できる有効な監督制度の開発の3つをミッションとしている。今回のサーベイもTCFRの活動の一環で実施された。BISは1月に「グリーン・スワン」というレポートを発表し、気候変動が金融システミックリスクを引き起こす可能性があると警戒している。
【参考】【国際】BIS、気候変動金融危機リスクを「グリーン・スワン」と呼称。中銀の抜本的な認識変化必要(2020年1月27日)
今回のサーベイでは、監督当局として、気候変動リスクを監督することに言及された責務を負ってはいないが、金融システミックリスクを監督する当局として、金融システミックリスクとみなされている気候変動リスクを監督することは、既存の規制制度の中で十分可能との回答が多かった。実際に気候変動による金融システミックリスクの調査・研究を始めている国は24ヶ国・地域あった。
気候変動リスクの監督について、法制度面での障壁があると回答した国・地域はなかった。一方、オペレーション上の課題としては、「利用できるデータの欠如」が10、「手法の課題」が7、「リスク経路の把握」が5、「組織としての対応キャパシティ」が4、「時間軸の不整合」が3、という回答結果となった。
すでに銀行に対し、気候変動リスクについて協議している国・地域も23あった。内容は、「会議・イベント」が20強、「スピーチ」が約15、「文書発行」も15弱あった。すでに18ヶ国・地域では、銀行に対してリスク調査まで実施していた。
一方で、気候変動に関する金融監督ガイダンスをすでに発行したところは、6ヶ国・地域に留まった。現在計画中が5ヶ国・地域ある。対応の深度については、温度感が確認された。
【参照ページ】Climate-related financial risks: a survey on current initiatives
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