欧州環境庁(EEA)とドイツ連邦環境省4月17日、EUの包括的な環境分析レポートを共同発表した。人類社会における環境制約を体系的に分析するためのフレームワーク「プラネタリー・バウンダリー」を活用し、現時点での環境制約の到達状況を示した。
プラネタリー・バウンダリーは、2009年にストックホルム・レジリエンス・センターのヨハン・ロックストーム氏とオーストラリア国立大学のウィル・ステファン氏が作成し、世界的に話題を呼んだフレームワーク。9つの環境指標から地球環境の限界点を見定め、臨界点に対し人間社会がどこまで来てしまっているかを分析している。9つの指標は「気候変動」「生物多様性の喪失」「生物地球化学」「海洋酸性化」「土地利用変化」「淡水」「オゾンホール」「大気エアロゾル粒子」「化学物質汚染」。2015年には第2版が発表された。
(出所)EEA
2015年の第2版では、バウンダリーの状況では、すでに臨界点を越え、環境が悲鳴を上げているのは、地球生物化学(窒素、リン)と遺伝子多様性(生物多様性の一つ)。そのため肥料に大量に含まれる窒素化合物やリン、種の保全が喫緊の課題と位置づけた。また、臨界点に迫っている指標として、土地利用変化と気候変動を挙げた。
プラネタリー・バウンダリーは、スイス政府が活用した政策マネジメントを導入したことで知られる。2015年からはEUでも、長期政策目標検討の一環として、部局横断の合同調査としてレポートを策定している。今回の分析では、2015年の第2版を基に、欧州による影響分の算出を実施。その上で、窒素、リン、土地利用変化、真水消費量の4つを分析した。
また、経済がグローバル化している状況で、各地域の影響分を算出することは簡単ではないが、今回は「消費」軸でフットプリントを算出した。そのため、輸入品の国内消費はフットプリントの対象となり、輸出品の生産はフットプリント算出から外れることになる。
(出所)EEA
結果、窒素、リン、土地利用変化については、欧州分の影響で、すでに臨界点を突破。早急な対策が必要と位置づけた。真水消費量については、安全圏だった。
【参照ページ】Europe’s environmental footprints exceed several safe limits
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