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【国際】アップル、2030年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル達成と宣言

 米アップルは7月21日、2030年までにバリューチェーン全体で二酸化炭素ネット排出量をゼロ(カーボンニュートラル)にすると発表した。実現するとアップル製の全製品は、二酸化炭素排出量がゼロになる。グローバル規模のメーカーでスコープ3までを含めたカーボンニュートラルを2030年までに実現すると発表したのは同社が世界初。

 同社は、2030年までに二酸化炭素排出量を75%削減し、残りの25%分については、二酸化炭素除去ソリューションを新たに開発していく方針で、今回資金拠出ファンドを創設することを表明した。同社のティム・クックCEOは、「気候変動アクションは、潜在イノベーション、雇用創出、耐久性のある経済成長という新たな時代の礎になる」と、気候変動対策に取り組むことの意義を説明した。

 同社はすでに自社での消費電力を100%再生可能エネルギーに切り替え済みだが、さらに自社の再生可能エネルギー電源比率を高めるため、アリゾナ州、オレゴン州、イリノイ州で合計1GW以上の再生可能エネルギー発電所を建設している。すでに自社電源比率は80%以上にまで到達している。さらに同社サプライヤー70社以上が同様に再生可能エネルギーへの切替を表明済み。合計の設備容量導入量は8GWにも及ぶ。他にも、タイやフィリピンでは、低所得者層地域のために太陽光発電所を建設している。

 サプライヤーの省エネ対策支援も積極化している。中国サプライヤーの省エネ支援では、US-China Green Fundとパートナーシップを締結し、1億米ドルを投資する予定。同社が進める「サプライヤー省エネプログラム」には2019年時点で92社が参加しており、合計で年間78万tの二酸化炭素排出量削減に成功している。アップルは、自社オフィスの省エネでも5分の1を削減し、2,700万米ドル(約29億円)のコスト削減につながった。

 製品設計・製造では、2019年に販売されたiPhone、iPad、Mac、Apple Watchは全て再生レアアース素材のみで生産された。iPhoneで使われている振動モジュール「Taptic Engine」のレアアースも同様に再生素材を活用し、スマートフォンのレアアースでサーキュラーエコノミー化を実現したのは同社が世界初となった。自社でも「Taptic Engine」を解体し、レアアースや鉄を回収する工業機械「Dave」を開発し、実地配備した。テキサス州オースティンにある「資源回収ラボ」では、電子廃棄物のリサイクル技術の開発を、カーネギーメロン大学と協働で進めている。製品設計・製造での二酸化炭素排出量は2019年だけで430万t。製品の省エネでも過去11年間で73%のエネルギー消費量削減を実現した。

 さらに製品の素材開発では、アルミニウム・サプライヤー2社が開発している世界初の二酸化炭素排出量フリーのアルミニウム精錬工法を支援。16インチのMacBook Proではすでに低排出量のアルミニウムが使われている。サプライヤーのフッ素ガス削減でも2019年に24.2万tの削減を実現した。

 大気中の二酸化炭素排出量除去では、森林等の自然生態系を活用した除去に投資。国際環境NGOコンサベーション・インターナショナル(CI)協働したケニアの劣化サバンナやカンボジアでのマングローブ林の再生を展開。中国、米国、コロンビア、ケニアでは、100万エーカーの森林や生態系を保護するため、コンサベーション・ファンド、世界自然保護基金(WWF)、コンサベーション・インターナショナル(CI)と協働している。

【参照ページ】Apple commits to be 100 percent carbon neutral for its supply chain and products by 2030

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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