リジェネラティブ農業 2021/02/07 辞書

 リジェネラティブ農業(Regenerative Agriculture)とは、土壌の有機物を再構築し、劣化した土壌の生物多様性を回復させることで気候変動を逆転させ、結果として大気中への炭素の排出と水循環の改善をもたらす農法と放牧を意味しています。日本では「再生農業」「再生型農業」とも和訳されています。

なぜ必要なのか

 世界の肥沃な土壌と生物多様性の喪失は、土着の種子や知識の喪失とともに、私たちの将来の生存を脅かす致命的な脅威となっています。土壌科学者によると、土壌破壊が現在のペースで進むと、食品の質の低下と重要な微量ミネラルの損失により、人間社会に必要な耕作地を十分に確保できなくなってしまいます。逆に、40億エーカーの耕作地、80億エーカーの放牧地、100億エーカーの森林地帯で、土壌を保護すれば、食料安全保障を高めるだけでなく、土壌の有機物を大気中に放出することを防ぎ、気候変動の緩和や、生物多様性の確保につながります。

 リジェネラティブ農業のポイントは、土地に害を与えないだけでなく、土壌や環境を再生する技術を用いて土地を改善することにあります。リジェネラティブ農業は、高品質で栄養価の高い食糧を生産することができる健全な土壌を造り、同時に土地を劣化させるのではなく改善していくことで、生産性の高い農場をつくり、健全な地域社会や経済を実現していきます。

 健康な土壌は多くの二酸化炭素を隔離することができるため、リジェネラティブ農業に移行することで気候変動に対してとても有効的な対策となるでしょう。そのうえ作物の輪作や多品種カバークロップ(mult-species cover crop)を通じて植物の多様性を構築することが可能です。このような植物の多様性は、植物に必要な栄養素を供給するための土壌微生物の集団を構築し、維持するのに役立ち、合成肥料の必要性を大幅に削減または廃止することができます。堆肥を施用することで、土壌微生物群集を回復させることもできます。生垣や木を植えることで、土壌の生物多様性がさらに向上し、自然の害虫駆除に欠かせない花粉媒介者や益虫の生息地を増やすこともできるでしょう。

先進企業の事例

パタゴニア

 パタゴニアは食品部門であるパタゴニア・プロビジョンズを通じて、リジェネラティブ農業を実践しています。そのうえパタゴニアは自社ブランドなどを含むパイロットプログラム、34大学の大学院生、国立科学財団の監督を経て、理事会はリジェネラティブオーガニック認証(Regenerative Organic Certification)を開発しました。

 ロデール研究所によると、世界が再生有機農業に移行すれば、地球温暖化の原因となっている大気中の炭素の100%が土壌に再吸収されると主張しています。これに関してパタゴニアのCEOローズ・マルカリオ氏は、「ソーラーエネルギーは、人々が信じていたよりもはるかに早く普及しました。私は、気候危機が現実のものであることを理解し、迅速に行動し、協力して行動しなければならないことを理解しているCEOたちの素晴らしい連合が、この国中に存在すると信じています」と意見を述べています。

ゼネラル・ミルズ

ゼネラル・ミルズは米国の食品会社で、2030年までに100万エーカーの農地にリジェネラティブ農業を展開することを表明しています。ゼネラルミルズでは、経済的回復力、土壌の健全性、水の利用、生物多様性、動物の健康と福祉の5つの目標にわたってリジェネラティブ農業の影響を測定しています。

 リジェネラティブ農業が実際にどのように機能するかを観察するための一連の実証プログラムも開始しました。農場や農家によって優先順位や限界が異なることを理解したゼネラル・ミルズ社は、従来の農法を使用している農家と並んでリジェネラティブ農業を研究しています。これは、リジェネラティブ農業の利点を探り、従来の方法が必ずしも収量を最大化させるわけではないことを実証することを目的としています。

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