Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【国際】CDP、2020年サプライチェーン報告書を公表。日本は10社・機関が参加。5年で160兆円のリスク

 国際的な気候変動情報開示推進NGOのCDPは2月9日、サプライチェーンプログラムの2020年度報告書「グローバル・サプライチェーン報告書」を公表した。CDPの報告書は、従来からのCDPプログラムである「気候変動」「ウォーター(水)」「フォレスト(森林)」の3つを、サプライチェーンという観点で改善していくためのプログラム。

 CDPサプライチェーンプログラムの2020年度の参加企業は154社。購買金額の総計は約4.3兆米ドル(約450兆円)で、合計でのサプライヤー数は15,000社を超える。今回はそのうち8,000社以上がCDPの調査票に回答した。

【参考】【国際】CDP、サプライチェーンプログラム新規参加企業が24%増。北米は34%増。日本は新規1社のみ(2020年5月20日)

 プログラムそのものを牽引するプレミアム・メンバー企業は、マイクロソフト、スタンレー・ブラック&デッカー、ウォルマートの3社。リーディング・メンバー企業は、アルファベット、バンク・オブ・アメリカ、バークレイズ、バイエル、Cementir Holding、デル、エレクトロラックス、セインズベリー、JTインターナショナル、ジュニパーネットワークス、ケロッグ、フィリップス、レゴ・グループ、リンクトイン、ロレアル、マクドナルド、NIKE、NRGエナジー、オーステッド、フィリップモリス・インターナショナル、Signify、ターゲット、コカ・コーラ・カンパニー、ヴァージン・マネーUK、ウェルズ・ファーゴ。日本たばこ産業子会社のJTインターナショナルを除けば、日本企業はいない。

 通常の企業会員では、日本企業からは、味の素、富士通、本田技研工業、花王、環境省、日本電気(NEC)、日産自動車、積水化学工業、トヨタ自動車、横浜ゴムの10社・機関が参加した。

 参加企業は、サプライヤーに対し、気候変動や水などの環境リスクの開示を求めており、気候変動対策に強いサプライチェーンを構築することを目指している。参加企業と参加企業に指名されたサプライヤーは、毎年CDPに対して気候変動やウォーター、フォレストの質問票に回答し、情報を開示することが求められる。

 今回気候変動に関する調査票が送付されたサプライヤー企業数は全部で15,637社。そのうち、8,098社が回答を寄せた(回答率52%)。同様に、ウォーターに関する調査票が送付されたサプライヤー数は4,108社。そのうち回答を寄せた企業数は2,449社(回答率60%)。フォレストに関する調査票送付は788社、回答を寄せたのは448社(回答率57%)。ウォーターは2013年、フォレストは2017年に調査対象となったため、浸透が遅れている。

 今回の報告書では、気候変動質問票に回答した企業8,098社による二酸化炭素排出量(スコープ1と2)の合計は、67億1,400万tに達し、米国とインドの合計量に匹敵する。一方、1年間での排出削減量の合計は6億1,900万t。コスト削減効果は337億米ドル(約3.5兆円)となった。前年比の削減幅では、2019年の6,892社で79億7,600万tから、2020年は8,098社で67億1,400万tと劇的な削減をみせた。

 しかし課題もある。今回回答したサプライヤーのうち、2次サプライヤーに対し、二酸化炭素排出量削減のエンゲージメントを実施していた企業は全体の37%にとどまった。また、回答企業が増えたためか、エンゲージメント実施率は2019年の39%から減少してしまった。

 同レポートによると、サプライヤーは、今後5年間で合計1.2兆米ドルの気候変動財務リスクを抱えている。内訳は、市場リスクが7,400億米ドル、物理的リスクが1,980億米ドル、規制リスクが1,550億米ドル。サプライチェーンプログラム参加154企業のうち、94%はすでにスコープ3も含めた削減目標を設定している。スコープ3の排出量は、スコープ1とスコープ2の合計の11.4倍にもなる。

 一方、ウォーターによる財務リスクは2,480億米ドル、フォレストでは50億米ドルとの結果も出た。気候変動と合わせると1.5兆米ドル(約160兆円)のリスクが認識された。但し、ウォーターとフォレストは回答企業数が大幅に少ないため、今後カバー率が上がれば、著しく上がる可能性が高い。

【参照ページ】Environmental supply chain risks to cost companies $120 billion by 2026
【レポート】CDP Global Supply Chain Report 2020

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。