欧州委員会は2月24日、「EU気候変動適応戦略」を採択した。欧州委員会は2013年に気候変動適応戦略を定めていたが、欧州グリーンディール政策や、2020年5月から8月に実施したパブリックコメントを踏まえ、今回新たに戦略を策定した。
欧州委員会は今回、気候変動緩和に向けた最大限の努力を実施しているが、それでも同時に気候変動の影響はゼロにはできないとし、適応も実現しなければならないという背景を説明。すでに異常熱波、破壊的な旱魃、森林火災、海面上昇による沿岸侵食は発生しており、対処が必要とした。また、気候災害による経済コストはすでに年間120億ユーロ(約1.6兆円)にも達しており、今後3℃の気温上昇で経済コストは年間170億ユーロ以上に上るとの試算も紹介した。また2019年に欧州を襲った熱波では、2,500人が死亡した。
今回の戦略では、まず、データを重視。影響を把握し、対策を講じるためには、世帯購買、不動産、住宅リノベーションから、沿岸部の事業、農家の収穫量に至るまで、幅広いデータを収集し、関係者が利用可能な状態にすることが重要とした。そのため、気候ナレッジデータベースとして「Climate-ADAPT」を創設し、健康影響データも含めて、随時に機能を拡充していく方針を掲げた。
また、気候変動適応政策は、体系的に実施する必要があることから、あらゆる政策分野に気候変動レジリエンスを盛り込むことにもコミットした。特に、マクロ財務政策、適応に関する自然を基盤としたソリューション(NbS)、地方レベルの適応アクションの3つを統合させていく。
さらに国際的なアクションを加速させるため、アフリカや島嶼国での地域レベル、国レベル、地方政府レベルでの適応アクションを支援する。特に、ファイナンスと地方政府とのエンゲージメントを強化する。
【参照ページ】Building a Climate-Resilient Future - A new EU Strategy on Adaptation to Climate Change
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