参議院は5月25日、環境省が所管し、内閣が提出した地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(温対法改正法案)を可決。すでに衆議院では4月27日に可決しており、今回、同法が成立した。
同法は、法の基本理念として、「パリ協定第二条1において世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること及び世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏1.5℃高い水準までのものに制限するための努力を継続することとされていることを踏まえ、環境の保全と経済及び社会の発展を統合的に推進しつつ、我が国における2050年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。)の実現を旨として、国民並びに国、地方公共団体、事業者及び民間の団体等の密接な連携の下に行われなければならない。」との条文を追加した。
今回の条文により、菅政権が掲げる2050年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)の実現が、法定目標化したときの政権の意思のみで取り下げることのできないようにした。
また、改正前には、都道府県と中核市のみに言及していた地方自治体の目標に、市町村の目標設定を追加。地方公共団体実行計画を策定し、二酸化炭素排出量削減する努力義務を課した。さらに、地域資源を活用した太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギーの促進を「地域脱炭素化促進事業」を法定行為として定め、促進事業の区域や目標、加えて、地域の環境保全、地域の経済及び社会のサステナブルな発展に資する取組を市町村が率先して進める努力目標も課した。
さらに、前法では、「温室効果ガスの排出量等の抑制」としていた表現を全て「温室効果ガスの排出量等の削減」に改めた。
【参照ページ】地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について
【参照ページ】地球温暖化対策推進法の一部改正法案及び再エネポテンシャル調査について
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