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【国際】NATOサミット、中国とロシアへの対抗意識鮮明化。気候変動等のレジリエンスも重要政策に

 北大西洋条約機構(NATO)は6月14日、ブリュッセルの本部で加盟国30ヶ国の全首脳が集まるサミットを開催。中国やロシアへの対抗意識を明確に示すとともに、気候変動やサイバー攻撃を重大な安全保障課題として扱っていくことで合意した。

 今回のNATOサミットは、米国でバイデン政権が誕生してからの最初のサミット。新政権の外交・安全保障政策が色濃く反映されるものとなった。まず、NATOの戦略コンセプトを改訂することで合意。ロシアの積極的な対外行動や、中国がNATOの集団的安全保障体制や共通の価値観に対して突きつける課題に対応した新たな戦略コンセプトを2022年のNATOサミットで採択する。

 気候変動に関しては、NATOが気候変動の安全保障への影響を理解し適応するための主要な国際組織になるというミッションを設定。パリ協定に基づく各国の国別削減目標に沿って軍事活動や軍事施設から二酸化炭素排出量を削減することに同意した。また、気候と安全保障に関するハイレベル対話も開始する。

 サイバーセキュリティでは、新たなサイバー防衛ポリシーを採択。NATOの加盟国間で、重要なインフラに対するランサムウェア等のサイバー攻撃からの防衛や、攻撃時の復旧に対する協働を打ち出した。電力や通信でのインフラでの安全保障も確認し、中国企業による独占を打破していく産業体制を構築し知恵くことも確認した。

 軍事での技術力強化では、防衛イノベーション・アクセラレーターを立ち上げることも発表。軍事の分野でもイノベーションやスタートアップ企業との連携を深化させにいく。また、加盟国政府は、十分な軍事能力を担保するためのリソースの確保も約束した。同時に、従来の安全保障の枠を超え、レジリエンスを確保することも重要課題と位置づけ、サプライチェーン、重要なインフラ、エネルギーネットワークのセキュリティ、パンデミック、自然災害への備え等でも協調してコミットしていくことでも合意した。

 加盟国は今回、個人の自由、人権、民主主義、法の支配など、共通の価値観へのコミットメントを再確認。さらに対外的にも、EU、オーストラリア、日本、ニュージーランド、韓国)とのパートナーシップを強化することで合意。また、NATO未加盟の欧州諸国に加盟の門戸を開放することも確認した。

[2021年6月25日追記]
 NATOサミットは同日、気候変動・安全保障アクションプランも採択している。まず現状認識として、現代を特徴づける課題であり、NATO加盟国の安全に影響を与える脅威と指摘。軍事行動の障壁や、異常気象や気象変化による軍事施設のレジリエンスの試練となり、軍として能力を損なうとの懸念を顕にした。また、永久凍土層の融解、砂漠化、新航路の開放等により地政学的な変化ももたらし、政治的不安定や競争激化を誘発する可能性もあるとした。人々の移住による懸念にも触れた。

 今回策定したアクションプランは4つの内容で構成。まず、NATO加盟国の意識情勢。そのため、NATOは毎年、気候変動と安全保障の影響評価を実施することを決定。同時に、安全保障リスクやレジリエンスの評価において気候変動を考慮することも決めた。科学技術の研究も加速させる。

 続いて、気候変動適応。気候変動の影響評価に基づき、レジリエンス、防衛計画、イノベーション、訓練、演習、災害対応等で気候変動を考慮する。また抑止力と防衛姿勢に与える政治的なインパクトも考慮する。

 そして、気候変動緩和。NATOは、軍事活動や施設からの二酸化炭素排出量を測定・分析するための手法を開発。これにより加盟国で自国の軍の排出量や削減可能性の算定を促す。加盟国のベストプラクティスの横展開にも努める。さらに、軍の調達において低炭素技術の購入を増やす。

 最後に、アウトリーチの強化。NATOは、EU、国連等の交流を強化。さらに、気候変動と安全保障問題に関するNGO、学界、産業界との対話も強化する。

 これらの進捗状況は、2022年のNATOサミットの中で報告する。
 
【参照ページ】Brussels Summit Communiqué
【参照ページ】FACT SHEET: NATO Summit: Revitalizing the Transatlantic Alliance
【参照ページ】NATO Climate Change and Security Action Plan

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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