国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は7月2日、オイルサンド・パイプライン「ライン3」の新路線建設を批判する声明を発表した。ライン3は、カナダ・パイプライン大手エンブリッジが建設主体で、カナダのアルバート州から米ミネソタ州を経由し、ウィスコンシン州までを結ぶ総長1,659kmの長距離パイプライン。
現在のライン3パイプラインは、石油パイプラインとして、エンブリッジが建設し1968年に操業開始。しかし、同社は輸送量を増やすため、2014年に新路線の建設構想を発表し、すでにカナダ、ウィスコンシン州、ノースダコタ州でのパイプライン敷設を完了。残りは大幅にルートが変わるミネソタ州での建設工事となっている。2020年11月にミネソタ州汚染管理局は建設の最終許可を発行し、同12月から建設が開始された。完成すると日量約76万バレるの石油を輸送する。
しかし、ミネソタ州でのパイプライン建設に際しては、先住民族アニシナアベ族の保護地域を通過するため、アニシナアベ族が抗議行動を展開。またオイルサンドの輸送パイプライン工事のため、環境NGOからも気候変動悪化として反対行動が行われている。
抗議活動の中心人物の一人だったレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)のジンジャー・キャサディ事務局長は、建設に抗議するために平和的な市民不服従運動に参加し、7月1日に重罪に問われ拘束されたという。RANによると、拘束したミネソタ州ハバード郡の当局は、保釈金の10%を現金で支払えば釈放するという通常の制度を認めず、5,000米ドルの条件付き保釈金と10,000米ドルの無条件保釈金の支払いを要求している模様。
エンブリッジ社は、ライン3パイプライン建設に当たり、プロジェクトファイナンスではなく、コーポレートファイナンスで資金を調達している。RANによると、エンブリッジに融資している企業は、トロント・ドミニオン銀行、モントリオール銀行、スコシアバンク等のカナダ銀行大手、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカの米国勢、そして三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループも融資しているという。
【参照ページ】声明:メガバンクが支援する北米パイプライン「ライン3」、活動家らの封鎖で工事中断(2021/7/7)
【参照ページ】北米パイプライン「ライン3」と「キーストーンXL」の黒幕
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