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【アメリカ】ダウ、サーキュラーエコノミー強化でEBTIDA3400億円創出。大規模な設備投資

 化学世界大手米ダウは10月6日、事業ポートフォリオを全面的にサーキュラーエコノミー型に転換に、グローバルでの資産ベースでカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を目指す戦略を発表した。資本支出を減価償却費の水準以下に抑えながら、基礎的なEBITDAをさらに30億米ドル(約3,400億円)以上成長させる。

 EBITDAの上昇では、まず、以前からのデジタル化で2025年まつまでに3億米ドルを見込む。さらに、既発表のリストラクチャリング目標では3億米ドルの上積みを2021年末までに実現する見通し。カーボンニュートラル型のエチレン及び派生品で2030年までに年間約10億米ドルを創出し、他の設備投資と事業拡大で約20億米ドルを追加で生み出す。

 今後の大規模な設備投資では、パッケージ・プラスチックや高機能性プラスチックでは、ポリエチレンおよび機能性ポリマーの生産能力増強、原料のフレキシビリティのさらなる強化、次世代の低炭素・低コスト技術の導入を行いつつ、高収益製品にシフトする。

 産業用の誘導品では、高収益のポリウレタン、アルコキシレート、特殊アミン、イソシアネートの生産能力を増強。次世代インフラ向けを強化するとともに、医薬品、洗浄、持続可能な繊維、炭素回収等の需要に応え、こちらでも高収益製品にシフトする。

 機能性素材では、インフラ、エレクトロニクス、モビリティ、ホーム&パーソナルケア、コーティング等の腫瘍市場向けに、イノベーションポートフォリオを強化。シリコーンポリマー、接着剤、シーラント、コーティングバインダー、アクリルの生産能力を拡大する。

 同社は同日、エチレンを生産しているカナダ・アルバータ州のフォート・サスカチュワン工場を、製造でのカーボンニュートラル型に転換し、初のネット・ゼロカーボン・プラントを建設する計画も発表。これにより、同社の世界全体のエチレン生産の20%がカーボンニュートラル生産になり、ポリエチレンの供給量も15%増加する。再生可能エネルギーの調達でも、同日、米州で8ヶ所の発電所と電力購入契約(PPA)を締結し、850MWを確保。年間で60万tの二酸化炭素排出量削減につながるという。

 同社は、2030年までに100万tのプラスチックを回収、再利用、リサイクルできるようにし、2035年までにパッケージ用途で販売する製品の100%を再利用またはリサイクルできるようにするという目標を掲げている。

 サーキュラーエコノミー型の素材提供でも、同日、オランダのヴェールトに第2工場を建設し、廃プラスチック年間2tを熱分解油に還元。それをオランダ・テルノイゼン工場で、ケミカルリサイクルによりプラスチックを生産する第2工場を建設することを発表。ガンバー・ペトロリアム・ロッテルダムとの間でが、2021年から廃プラスチックをダウに供給する契約も締結した。Haldor Topsoeとの提携も発表し、合同でテルノイゼン工場に市場開発ユニット(MDU)を立ち上げる。北米でも、テキサス州タイラーに拠点を置くニューホープ・エナジーが廃プラスチックを熱分解した油原料を調達する複数年契約を締結し、ダウで再生プラスチックを生産する。

 ケミカルリサイクル製品では、欧州と米国の主要拠点で、サーキュラーエコノミー国際認証のISCC認証を取得する。同社は4月には、Mura Techonologyと提携し、同社の新たなケミカルリサイクル技術「HydroPRS」を活用し、英ティーサイド世界初のプラントを建設することも進めており、完工すると年間2万t生産規模となる。

 さらにマテリアルリサイクルでも9月23日、同社のパッケージ子会社ダウ・パッケージング&スペシャリティ・プラスチックスは、デジタル印刷技術のHPインディゴ、フィルム製造のReifenhäuser、フィルム製造設備Karlville、リサイクル技術Cadel Deinkingの4社と協働し、食品用パウチのリサイクルフロー開発に成功したことも発表した。リサイクル可能なポリエチレン(PE)ベースのバリア性食品用パウチを、マテリアルリサイクルと脱墨を活用し、リサイクル原料を30%含む高品質の食器洗剤用パックを作ることに成功した。今後、民間イニシアチブ「R-Cycle」に沿ってデジタルパスポートの検討も進め、リサイクル性情報をパウチに持たせられるようにする。

 川下企業との関係では、9月14日には、クロックスとの間で、バイオ素材を活用した「Croslite」の導入を発表。既存の製品ラインを転換する。ダウのバイオ新素材「ECOLIBRIUM」を用いて生産し、二酸化炭素排出量を削減する。クロックスは2030年までにフットウェアのカーボンフットプリントを50%削減することを目標としている。

 これまでアルミニウムとの重層構造でリサイクルが困難だった歯磨き粉チューブでも、アルミニウム層を不要とした高性能ポリエチレンベースのチューブを開発しており、すでに世界樹の店頭で販売されていることも10月12日に強調した。パッケージに印字も可能なため、自由度が高いという。

 ボロレとの間では、食品に接触するパッケージで、再生プラスチックを活用し、使用後にリサイクルできるようにする実証でも合意した。ボロレのバリアシュリンクフィルム「OXBTEC RCB」は、ダウの100%再生ポリマーを原料とし生産。すでに英国では9月に、ボロレの代理店ヨークシャー・パッケージング・システム(YSP)が独占販売権を得ており、食肉大手クランズウィックが採用する話が進んでいる。

 ラルフローレンとの間では、持続可能で効果的な綿の染色方法に関する詳細なマニュアルを合同で発表。ラルフローレンとダウは、染色プロセスをオープンソース化し、繊維業界での採用を促進するとともに、持続可能で効率的な綿の染色システムの標準化を支援することも明らかにした。ラルフローレンは、ダウが開発したカチオン性綿処理剤「ECOFAST Pure」を大手ブランドで初めて採用し、今回合同で普及に動く。ECOFAST Pureは、色や品質を犠牲にすることなく、化学物質を最大90%、水を50%、染料を50%、エネルギーを40%削減することができるという。

【参照ページ】Dow outlines investment plans to deliver >$3B of additional underlying EBITDA growth with clear path to zero-carbon emissions
【参照ページ】Dow announces plan to build world's first net-zero carbon emissions ethylene and derivatives complex
【参照ページ】Dow adds eight new renewable power agreements, reducing emissions by more than 600,000 tons of CO2e per year
【参照ページ】Dow expands global capabilities for circular plastics, with initial products available for customers in 2022
【参照ページ】Dow to build market development unit to enable manufacturing of circular plastics
【参照ページ】Dow, HP, Reifenhäuser, Cadel Deinking, and Karlville combine forces to recycle PE-based barrier pouch into new high-quality PE pouch suitable for repeat recycling
【参照ページ】Dow and Crocs announce a new collaboration to help lower the carbon footprint of Crocs’ iconic footwear
【参照ページ】Dow commercializes recyclable toothpaste packaging
【参照ページ】Dow and Bolloré collaborate to develop ground-breaking recyclable food-contact barrier shrink film, containing circular polymers
【参照ページ】Ralph Lauren and Dow Open-Source New Process to Transform How The Fashion Industry Dyes Cotton

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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