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【アメリカ】下院、135兆円のインフラ投資・雇用法案を可決。Build Back Betterの210兆円は別途審議

 米連邦下院は11月6日、1.2兆米ドル(約135兆円)規模の予算を盛り込んだ「インフラ投資・雇用法案」を賛成228、反対206で可決した。バイデン大統領が3月31日に総額2兆米ドル(約220兆円)規模の「米国雇用プラン」を打ち出していたが、約7ヶ月間の折衝を経て、ようやく下院を通過した。同法案は「超党派」を謳ったが、共和党からは13人のみが賛成。また当初計画から大幅に予算が減額されたことを不服とする民主党からも6人が反対した。

【参考】【アメリカ】バイデン政権、220兆円の米国雇用プラン発表。気候変動と中国対抗が柱。法人税改革も(2021年4月1日)

 今回の予算を巡っては、非常に複雑な経緯をたどった。バイデン大統領が3月に示した「米国雇用プラン」では2兆米ドル規模だったが、共和党が即反発。7月には、米国雇用プランのうち、インフラ整備に絞った総額5,500億米ドル(約60兆円)規模の新規予算を含む1.2兆米ドル「インフラ投資・雇用法案」とすることで両党の合意に達し、8月に上院で賛成69、反対30で可決され、下院に送られた。

【参考】【アメリカ】バイデン大統領と超党派グループ、60兆円のインフラ投資・雇用法案で合意。200万人雇用創出(2021年8月4日)

 しかし、下院では、民主党の中でも、インフラ整備に絞った予算案だけでも早急に成立させるべきという意見と、社会保障の予算を同時に盛り込むべきという意見が対立。民主党の中でも「進歩派」と言われる勢力は3.5兆米ドル(約400兆円)の予算とすべきと主張し、インフラ投資・雇用法案の審議での反対も辞さないと強硬路線に出た。

 これに対しバイデン大統領は、1.2兆米ドルの「インフラ投資・雇用法案」の早期成立を図りつつ、10月28日、総額1兆8,500億米ドル(約210兆円)規模の「Build Back Better」フレームワークを打ち出し、両方を分離して成立させる道を発表。その結果、11月5日に進歩派の一部が賛成に回ることとなり、今回の下院で「インフラ投資・雇用法案」が可決された。一方、進歩派の懐柔のため、「Build Back Better」も11月中に下院での審議されることとなった。下院で可決されれば、上院での審議となる。

【参考】【アメリカ】バイデン大統領、大型政策「Build Back Better」発表。社会保障強化。自社株買いにも課税(2021年10月31日)

 バイデン大統領は、就任早々「米国救済プラン」としてコロナ対策・復興予算を総額1.9兆米ドル(約200兆円)成立させており、今回が第2弾の大型予算となる。米国連邦議会では、慣例により、年に1回は「Reconsiliation(和解)」という手続きを踏むことで、過半数での予算採決が可能となるが、2回目以降では、一気に難易度が上がる。バイデン大統領は今回、「百年に一度の超党派インフラ法となった」と成果を誇った。成立された法案はバイデン大統領に送られるが、すぐに署名し、成立するとみられている。

 成立間近の「インフラ投資・雇用法案」の5,500億米ドルのインフラ投資の内訳は、道路・橋等に1,100億米ドル、鉄道に1,050億米ドル、高速インターネットに650億米ドル、水インフラに550億米ドル、空港に250億米ドル、バス等の公共交通機関に392億米ドル、EV充電ステーション等に75億米ドル、鉱山や工場の跡地の浄化に210億米ドル。残りの6,500億米ドルは、すでに合意が成立している諸々の予算への手当。

 財源としては、未消化の米国救済プランの予算の再活用が2,100億米ドル、経済成長による税収増で560億米ドル、失業保険金の州からの返金で530億米ドル、暗号資産(仮想通貨)からの税収で280億米ドル、周波数オークションで870億米ドル等。

[2021.11.21追記]
米バイデン大統領は11月15日、インフラ投資・雇用法案に署名。同法が成立した。

【参照ページ】Fact Sheet: The Bipartisan Infrastructure Deal
【参照ページ】Statement by President Joe Biden on the House Passage of the Bipartisan Infrastructure Investment and Jobs Act
【参照ページ】Congress Passed the $1 Trillion Infrastructure Bill. Here’s What’s In It.

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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