インドネシア国有石油プルタミナは4月25日、2028年までにインドネシアの地熱発電容量を現在の0.7GWから1.4GWに倍増させる計画を発表した。40億米ドル(約5,100億円)以上を投資する。
インドネシア政府は、2060年カーボンニュートラルを標榜。2025年までに再生可能エネルギー比率を12%から23%に引き上げる計画。プルタミアとしても、二酸化炭素排出量を2030年までに2010年比で30%減、2026年までに再生可能エネルギー10.2GW開発する等を目標として掲げている。
同国のエネルギー省のデータによれば、28GW以上の地熱発電が可能な試算だが、2021年時点は10分の1程度の2.28GWにとどまっている。
プルタミナは地熱発電所の開発を加速させるため、目標の設備容量のうち約210MWを、バイナリー方式のオーガニックランキンサイクル(ORC)を採用する。同技術は、地熱流体の温度が低い場合に、沸点の低い媒体を加熱することで蒸気タービンを回す仕組み。低コストで開発期間を短縮できる。
【参考】【エネルギー】地熱発電とは何か? ~仕組みと可能性~(2017年1月27日)
また、プルタミナは5月12日、大阪ガス、日揮ホールディングス、INPEXとバイオメタンクリーンガスの共同プロジェクト実施を発表した。今回のプロジェクトは、日本政府が2021年から開始しているアジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(AETI)の取り組みの一環。アジアグリーン成長パートナーシップ閣僚会合(AGGPM)で締結された。
【参考】【日本】経産省、グリーン成長閣僚会合開催。20ヶ国参加。アジア・トランジション・ファイナンスの動きも(2021年10月5日)
インドネシアは世界最大のパーム油生産・輸出国。GDPの4.5%を占め、300万人の労働者がいる。パーム油工場の廃液からは大量のメタンが排出される。メタンは二酸化炭素の25倍の温暖化効果を持つ。
【参考】【インドネシア】政府、パーム油の輸出禁止。食料価格高騰が政治課題化。世界影響必至(2022年5月2日)
今回の発表では、パーム油搾油時に工場から排出される廃液(POME)からバイオメタンを製造し、インドネシア国内で液化天然ガス(LNG)として活用するフィジビリティ・スタディを行う。スマトラ島及びカリマンタン島で実施され、製造したバイオメタンはプルタミナの事業ネットワークを活用し、LNGとして販売予定。また、日本を含めた各国へのバイオLNGの輸出、カーボンクレジット制度、バイオメタン認証制度を活用することも検討する。
さらに、プルタミナは5月13日、石油世界大手エクソンモービルと3つの油田・ガス田地域におけるCCS(炭素回収・貯留)、CCUS(炭素回収・利用・貯留)技術に関して2年間の共同研究を行う協定も発表。2021年11月の第26回気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)の場で締結した協力協定を発展させたもの。炭素貯留センターの建設、石油・ガスの貯留層の探索、ブルー水素プラントの建設等で協力し合う。対象地域は、南スマトラ州、東カリマンタン州、西ジャワ州。
【参照ページ】Pertamina Gandeng ExxonMobil Kaji Penerapan Teknologi CCUS di Tiga Wilayah Lapangan Migas
【参照ページ】Pertamina, Osaka Gas, JGC Holdings dan INPEX Sepakat Kerja Sama Proyek Gas Bersih Bio-Metana
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