米ジョー・バイデン大統領は5月18日、米医薬品大手アボットの乳児用粉ミルクを自主回収したことで発生している米国内での深刻な粉ミルク不足に対し、国防生産法を発動。関連サプライチェーン企業に対し、粉ミルク生産を優先するよう要求した。
今回の事案は、アボットの乳児用粉ミルクが、クロノバクター・サカザキ菌やサルモネラ・ニューポート菌に感染したという4件の消費者からの苦情を受け、アボットが2月、同社のミシガン州スタージス工場で製造された粉ミルク「シミラック」「アリメンタム」「エレケア」等の自主回収を始めたことが発端。
以降、米食品医薬品局(FDA)と米国予防管理センター(CDC)は、同社の詳細調査を実施したが、CDCは、粉ミルクと疾病の関連性を認める証拠は発見できなかったとの結論に達し、調査を終了。そして、同社は5月16日、米食品医薬品局(FDA)との間で、工場再開の手順で暫定合意に達した。最終承認は裁判所が判断する。
しかし、実際に店頭の商品が並ぶまでには6週間から8週間を要するという。同社は、アイルランドのクートヒル工場での増産を進めているが、それでも、しばらくの間で粉ミルク不足が続くことが決定的となっていた。そこで今回の国防生産法発動となった。
今回、バイデン大統領は、「フライ・フォーミュラ作戦」も決定。保健福祉省(HHS)と米国農務省(USDA)に対し、米国の健康・安全基準を満たす海外の乳児用粉ミルクを、国防総省(DOD)が手配する民間航空機で引き取り、店の棚により早く届くように指示した。DODは、新型コロナウイルス・パンデミックの初期に物資を輸送したときと同様、商業航空貨物会社と契約し、食品医薬品局(FDA)の安全基準を満たした製品を海外の工場から輸送する予定。通常の航空貨物輸送ルートを迂回することで、粉ミルクの輸入と流通を迅速化する。
【参照ページ】FACT SHEET: President Biden Announces New Actions to Address Infant Formula Shortage
【参照ページ】ABBOTT ENTERS INTO CONSENT DECREE WITH U.S. FOOD AND DRUG ADMINISTRATION FOR ITS STURGIS, MICH., PLANT; AGREEMENT CREATES PATHWAY TO REOPEN FACILITY
【参照ページ】ABBOTT VOLUNTARILY RECALLS POWDER FORMULAS MANUFACTURED AT ONE PLANT
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