英環境シンクタンクEnergy and Climate Intelligence Unit(ECIU)は8月21日、英国農家のカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)の達成に向けた機会と収益性に関する報告書を発表。年間31億ポンド(約5,000億円)の民間、公的セクターの資金流入の機会があり、特に、小規模な限界的な農場に恩恵を与える可能性が高いとした。
今回の発表は、英国の農家がカーボンニュートラルに向けたアクションを行うことで収益性を高めることができる機会について分析したもの。農業でのカーボンニュートラルでは、土壌での炭素貯留により、年間7億ポンド(約1,100億円)のカーボン・オフセット創出の機会を生み出し、新たな収益源が生まれると見通した。
さらに、英国政府は、土壌での炭素貯留分野に、24億ポンド(約3,900億円)の助成金を農家に支給する予算を組んでおり、これも農家にとって大きな収益源となる。英国政府は、同予算で、英国農業での二酸化炭素排出量を年間約3,200万tから2,600万tへと削減する考え。
現状の英国での農業補助金制度では、排出量ではなく、純粋に農場の規模に応じて補助金が支払われる制度が主となっている。規模が大きい上位10%の農場が予算の約半分の補助金を受け取っており、下位20%の農場が受け取る補助金は全体の2%しかない。一方、環境対策に関連した農家への補助金は、補助金全体の15%程度と低い。しかし、今後、環境対策での補助金割合が増加していくことで、構造が大きく変わっていく。
現状でも、小規模農家に対する現在の補助金のうち環境対策が占める割合は21%と、一般的な農家よりも高い。英国政府は、環境対策を重視した新しい制度が段階的に適応され、2028年までに補助金の予算すべてを環境対策にあてる方針。そのため、小規模農家がカーボンニュートラルを進めることで、収益源が大きく増加することが予想される。
【参照ページ】Levelling up farming
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