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【ヨーロッパ】EU、ロシア産天然ガスでも上限価格設定へ。ロシアはガス供給停止で対抗

 G7が9月2日の財相会合でロシアへの経済制裁強化を確認してから、資源を使ったロシアからの揺さぶりが強まっている。

【参考】【国際】G7財相会合、ロシア産石油の上限価格設定で確認。最終的な国内市場からの締出しでも合意(2022年9月5日)

 G7財相会合では、ロシア産石油に関し価格の上限設定で合意していたが、その後EUのフォンデアライエン欧州委員長は、ロシア産天然ガスでも価格上限を設定する意向を発表。一方、ロシア側では、メドベージェフ・ロシア前大統領は、EUがガス価格上限を設定すれば、欧州向けのガス供給を停止すると表明し、事態が一気にヒートアップした。

 まず、ロシア国営ガスプロムが同日、サンクトペテルブルク近郊のポルトバヤ圧縮機ステーションでの定期保守点検作業中に、ガスコンプレッサーの油漏れが見つかった発表。ガスコンプレッサーの修理が完了するまで、ガスパイプライン「ノルドストリーム1」を停止すると表明した。当初、定期保守点検は8月31日から9月2日の予定で、9月3日は稼働が再開する予定だった。これを受けて、欧州では9月5日、ガス市場価格が一時30%急騰した。

 ガスプロムは最近、ツイッターをプレスリリースとして活用しており、今回の稼働停止もプレスリリースでの発信。発表文によると、油漏れは、共同運営者のシーメンス・エナジーも確認しているという。ガスプロムによると、シーメンス・エナジーは、油漏れを完全に止めるには、ガスコンプレッサーを特別な修理施設で修理する必要があるとの見解だという。一方、シーメンス・エナジーは、他のガスコンプレッサーで稼働は可能とし、停止の必要性を否定している模様。

 ガスプロムは9月6日には、ロシア連邦環境・技術・原子力監督局により、油漏れしているガスコンプレッサーが復旧しない限り、ステーション全体に火災リスクがあるとし、ステーション全体の稼働停止を命じたと説明。稼働停止を正当化する声明を出した。

 また、ロシア大統領府も9月4日、ノルドストリーム1の稼働停止の原因として、シーメンス・エナジーによる修理が、G7のロシア制裁にあるとして、先導しているEU加盟国政府を非難している。

 この事態を受けても、フォンデアライエン欧州委員長は9月5日、ロシア産天然ガスで上限価格を設定しに行く方向性を改めて表明。9月9日のエネルギー相級のEU理事会で緊急会議を開催し、議論する考え。

 また、石油・ガス価格が高騰する中、ドイツのシュルツ首相とフランスのマクロン大統領は9月5日、電話会談を行い、エネルギー事業者に超過利潤税を課す考えで一致した。こちらも9月9日のエネルギー相級EU理事会の議題となる。エネルギー事業者への超過利潤税は「ウィンドフォール税」とも呼ばれているが、スペインとイギリスではすでに政府が導入する方針を決めている。財源の使途は、一般家庭等へのエネルギー緊急補助金。

【参考】【スペイン】政府、エネルギー企業と銀行に特別課税の方針発表。エネルギー高騰対策の財源(2022年7月14日)
【参考】【イギリス】石油・ガス企業への追加課税法案、下院通過。まもなく上院も。家庭支援強化の財源(2022年7月13日)

 冬に向けた燃料不足への懸念に対しては、ドイツのハーベック連邦経済・気候保護相は9月5日、2022年末に稼働停止予定だった原子力発電3基のうち2基を、2023年4月半ばまで延命する考えを表明。但し、脱原発の方針は堅持するとした。ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)と連邦環境・自然保護・原子力安全・消費者保護省(BMUV)は3月、原発の延命を否定していたが、今回4ヶ月ながら延命を決めた。

【参考】【ドイツ】政府、「原発寿命延長はエネルギー安全保障に資さず」。脱原発を予定通り実行(2022年3月9日)

 ロシアが欧州へのガス供給を止める中、ロシア側も財源を確保するために、代替販売先の確保に奔走している。9月6日には、ガスプロムは、中国石油天然気集団(CNPC)との間で、ガスパイプライン「シベリアのパワー」を通じたガス販売で、ドル建てではなく、人民元建てで決済する契約を締結したことを発表した。同パイプラインは2019年から稼働している。さらに9月7日には、両社の間で追加の契約を締結したことも発表した。詳細内容は不明。

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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