国際環境NGOの保険会社への脱炭素推進ネットワーク「Insure Our Future」と、環境NGOの「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、Friends of the Earth(FoE)Japan、350.org Japan、メコン・ウォッチは9月20日、東京海上ホールディングスの株主である機関投資家50団体に、同社に対してパリ協定の長期目標と整合化を図り、化石燃料事業の保険引受および投融資を停止するようエンゲージメントを求める要請書を送ったところ、10社から回答があったと発表した。すでに2機関がエンゲージメントを実施していたことが判明した。
今回の質問書は、6月27日の同社株主総会が契機。まず、直前の6月9日、Insure Our Futureと、韓国環境NGOのSolutions for Our Climate(SFOC)が、ベトナムのブンアン2等、石炭火力発電事業5事業の事例調査結果を発表し、日本の損害保険大手3社が巨額の保険を引き受けていることを伝えていた。そこで、日本の環境NGOが株主として株主総会に参加し、新規化石燃料事業の保険引受を停止するよう要望したが、同社経営陣からは、段階的に方針を強化していくとの回答のみで、気候危機が深刻化しているにもかかわらずスピード感と具体性に欠けたものと判断。機関投資家に要請書を送る事態となった。
今回回答した1社からは、以前から東京海上に対しエンゲージメントを行っており、同社がネットゼロ達成のための長期目標を掲げ、目標達成のための道筋を構築するよう、今後も引き続きエンゲージメントを行うとの趣旨の回答があった。今後も継続的にエンゲージメントしていく姿勢だという。
他方6社からは、個別の投資先とのエンゲージメントの状況については回答できないとの趣旨の回答がった。これを受け、環境NGOは、機関投資家は投資先の議決権行使結果を公表することが受託者責任とみなされる状況の中、透明性を欠く内容として批判した。
要請書の送付先は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、社みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、バンガード、Norges Bank、ブラックロック、BlackRock、明治安田生命保険、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友トラスト・ホールディングス(SMTH)、大和証券グループ本社、バークレイズ、ステート・ストリート、FMR、ドイツ銀行、JPモルガン・チェース銀行、ゴールドマン・サックス証券、カナダロイヤル銀行、T Rowe Price Group、シュローダー、Olive Street Investment Advisers、静岡銀行、八十二銀行、チャールズ・シュワブ、Dimensional Fund Advisors、カナダ・インペリアル商業銀行、TIAA、Swedbank、ほくほくフィナンシャルグループ、FIL、UBS、abrdn、Capita、
Janus Henderson Group、Zuercher Kantonalbank、Geode Capital Management、京都銀行、WisdomTree Investments、Ruffer、日本生命保険、CI Investments Inc/Canada、農林中金全共連アセットマネジメント、Nordea Bank、アクサ、スパークス・アセット・マネジメント、アリアンツ、りそなアセットマネジメント、ダンスケ銀行、DekaBank Deutsche Girozentrale、ニューヨーク・メロン銀行、ストアブランド。
今回環境NGOは、SOMPOホールディングスがすでに5月27日と6月28日に方針を打ち出していることを高く評価している。
【参考】【日本】SOMPO、保険引受カーボンニュートラルNet-Zero Insurance Alliance加盟。国内3社目(2022年6月29日)
環境NGOは、受託者責任をもとに機関投資家に責任ある対応を求めつつ、機関投資家からの圧力で上場企業に方針強化を迫る作戦に出ている。
【参照ページ】プレスリリース「機関投資家も東京海上に働きかけ~パリ協定の目標に整合し、新規化石燃料事業への保険引受停止を~」を発表
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