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【ドイツ】カタール・ワールドカップ2022、人権問題でスポンサーを巡る議論沸騰

 ドイツ小売大手Reweグループは11月、ドイツサッカー連盟(DFB)へのスポンサーシップを一時停止すると発表した。10月には2022年末でスポンサー契約そのものを終了させることをDFBに伝えていたが、DFBの姿勢の背後には国際サッカー連盟(FIFA)の思惑があることがわかり、終了から一時停止へと対応を緩和した。

 今回の問題の発端は、9月、オランダサッカー協会が、カタール・ワールドカップ2022の出場代表チームが、LGBTを社会的に受け入れることを訴える虹色の「OneLove」腕章の着用するアクションを提唱したことにある。ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、ウェールズのサッカー協会も賛同。中東諸国ではLGBTは社会的な権利が認められておらず、開催国カタールでも同性愛は違法のため、カタールに対する政治的メッセージを狙ったとみられている。

 オランダサッカー協会は、イタリア・ミラノで開催されたUEFAネーションズリーグで、イングランド代表チームのハリー・ケイン主将が、「OneLove」腕章を着用。また9協会は、カタール・ワールドカップ2022と、2023年のUEFAネーションズリーグで、代表チーム主将が「OneLove」腕章をつけることを宣言していた。そのうち8ヶ国・地域は、カタール・ワールドカップ2022への出場を果たしている。

 FIFAは、当初から開催国との政治的な問題になるのを避けるため、OneLove腕章の着用に否定的な見方を伝えていた模様。そして第一戦の直前、欧州7チームによると、FIFAは、試合中に「OneLove」腕章を着用した場合、スポーツ制裁を課すと通告。これは、FIFAが定めている未承認のキットをつけることを禁止しているルールに基づく措置。これにより、各代表チームの主将に試合中にイエローカードが出される可能性が高まっていた。

 これにより、7チームは11月21日、FIFAの決定を非難しつつ、OneLove腕章を着用しないことを決定。欧州サッカー連盟(UEFA)は、キットの規定違反に通常適用される罰金は支払う覚悟があったが、イエローカードは試合結果を左右するため断念したとの気持ちを吐露し、FIFAの対応を非難している。これに対し、ReweグループのCEOが今回、FIFAに対し「スキャンダラスな決定で、CEOとして、サッカーファンとして、到底受け入れられない」と発言し、抗議の形でドイツサッカー連盟へのスポンサーシップを一時停止した。

 今回のワールドカップでは、2010年にカタールでのワールドカップ開催が決まって以降、人権観点から、外国人移民労働者の労働慣行に加え、LGBTの権利についても批判の声が上がっていた。FIFAは2017年初めに、独立した専門家から提言を受ける人権諮問理事会を設置。国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に基づく人権方針も策定し、人権報告書も発行。2018年にはステークホルダーからの人権苦情を受け付ける苦情処理メカニズムも整備している。

【参考】【国際】国際サッカー連盟FIFA、人権諮問理事会が初の人権レポート公表。33のアクション提言(2017年11月19日)
【参考】【国際】FIFA、新たな人権ポリシーを制定。大会建設現場での人権保護と選手の差別禁止を強化(2017年7月2日)
【参考】【国際】FIFA、人権活動家や報道関係者向けの人権苦情処理メカニズム導入(2018年6月2日)
【参考】【国際】FIFA、2回目となる人権レポート発表。人権諮問理事会からの勧告内容と対応を詳述(2018年11月30日)

 FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は11月19日、開幕に際し、「サッカーに集中するために政治の話をやめる時がきた」と記者会見で説明。この発言が、再び議論を呼んでいる。

 企業で高まるサステナビリティ・アクションが、幅広いステークホルダーに影響を与える時代になってきている。

【参照ページ】England captain Harry Kane unable to wear One Love armband due to threat of FIFA sporting sanction

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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