EU上院の役割を果たすEU加盟国閣僚級のEU理事会は12月3日、ロシアを原産地とする、もしくはロシアから輸出される原油、石油製品、瀝青炭鉱物から得られる石油の原油価格の上限を1バレル当たり60米ドルに設定することを正式決定したと発表した。官報に掲載され、発効する。G7諸国政府とオーストラリア政府も合意した。
今回の上限価格決定は、9月のG7財相会合で決定された内容。上限価格設定の対象国は「価格上限連合(Price Gap Coaltion)」の参加国で、現在は、G7諸国、EU加盟国、オーストラリア。当初は、他の国に拡大していく案もあったが、当面拡大しないものと理解されている。価格上限連合の参加国は、約3ヶ月間、価格設定を協議し、今回EU理事会で承認されたことで、全体の作業を完了。12月5日から導入される予定。
【参考】【国際】G7財相会合、ロシア産石油の上限価格設定で確認。最終的な国内市場からの締出しでも合意(2022年9月5日)
【参考】【ヨーロッパ】EU、ロシア産天然ガスでも上限価格設定へ。ロシアはガス供給停止で対抗(2022年9月7日)
【参考】【アメリカ】財務省、ロシア産石油関連の上限価格設定で実務ガイダンス発表。金融機関も(2022年9月12日)
今回の決定では、価格上限連合の参加国が事前合意し価格上限以下で購入されるものには適用を除外。さらに、2022年12月5日以前に購入して船に積み込み、2023年1月19日以前に最終目的港で荷揚げしたロシア産の原油を輸送する船舶を対象に45日間の移行期間も導入する。また、価格上限は市場の状況に合わせて定期的に見直される可能性があるため、今回の決定では、すべてのオペレーターによる価格上限の一貫した実施を確保するため、価格上限の変更毎に90日の移行期間も設定した。
価格上限制度の機能は、市場の動向に対応するために2ヶ月ごとに見直され、国際エネルギー機関(IEA)が提供するデータを基に算出されるロシア産石油および石油製品の平均市場価格より少なくとも5%低く設定されることも決めた。
また、人間の健康や安全、環境に深刻かつ重大な影響を及ぼす可能性のある事象の緊急な予防や緩和、自然災害への対応として必要な場合、価格の上限を超えて石油を輸送したり、輸送に関わる技術支援や仲介サービス、融資や資金援助等の提供を認める「緊急事態条項」も導入した。
【参照ページ】Russian oil: EU agrees on level of price cap
【参照ページ】Statement of the G7 and Australia on a price cap for seaborne Russian-origin crude oil
【参照ページ】G7 agrees oil price cap: reducing Russia's revenues, while keeping global energy markets stable
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