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【国際】BHRRC、茶大手16社の人権苦情申立分析。ユニリーバ等。EU法とも関連

 国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)は5月24日、茶業界における人権ポリシーと実際のサプライチェーン上の実践との乖離を示したレポート「Boiling point」を公表した。ユニリーバ、マークス&スペンサー等16社の茶サプライチェーン上で生じた苦情申立70件を分析し、企業や政府に対する提言を行った。

 BHRRCは今回、茶サプライチェーン関連の情報開示とデューデリジェンスプロセスに関する調査への回答をまとめた分析データ「Tea Transparency Tracker」と、サプライチェーン・マッピング・プラットフォーム提供NGOOpen Supply Hubのデータを活用。公開ソース28個において、2022年に特定されたサプライヤーでの苦情申し立て70件と、バイヤー16社の関連付けを行った。

 レポート内で名指しされた企業は、ユニリーバ、マークス&スペンサー、テスコ、モリソンズ、トワイニング、スターバックスTeavana、テトリー、アーマッドティー、ベティーズ&テイラーズ、エカテラ、ジェームズ・フィンレー、リントンズ、タイフー、Goodricke、Jenier、Plusの16社。このうち、ほとんどの企業は人権ポリシーを定めており、11社は今後EUの「企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)」の適用対象となることが見込まれる。

 地域では、インド、スリランカ、バングラデシュ、ケニア、ウガンダで発生。苦情内容では、「結社の自由」「健康と安全の侵害」「賃金・手当・生活水準に関連した虐待」が挙がった。

 BHRRCは、表面化した苦情は氷山の一角に過ぎないと警鐘。一方、16社すべてに対し、嫌疑への対応に関する質問を行ったところ、Plusを除く15社からの回答が得られ、透明性への意識は重要なステップとして評価した。エカテラを除く14社は、特定された申し立てについて調査を開始したとも回答している。

 また同レポートでは、企業の購買を通じた人権影響の軽減が急務であり、サプライチェーンの完全な透明性が重要と強調。茶業界は、コーヒーやココア等と比べ、一部のグローバル大手での寡占と垂直統合の度合いが高いとし、業界変革とサプライチェーンの全ステークホルダーの繁栄に責任を負っているとした。一方、プライベートエクイティの参入を通じた所有構造の変化等は、権利の観点から精査されなければならないと指摘。また、企業がレインフォレスト・アライアンス(RA)やフェアトレード等の認証基準に過度に依存し、人権保護を保証していることの限界にも言及した。

 企業への提言としては、重点4分野として「サプライチェーンの完全な透明性」「購買慣行・取引関係・契約の取り決め」「厳格なデューデリジェンスプロセス」「アドボカシー」を列挙。サプライチェーンの完全な透明性では、企業に対し、完全なサプライヤーリストを公表し、定期的に更新すべきとした。

 購買慣行・取引関係・契約の取り決めでは、価格設定、長期的なサプライヤーとのパートナーシップの構築、不安定な契約形態等の根本原因等に対策を講じ、ビジネス慣行が人権に及ぼす影響に対処すべきとした。

 厳格なデューデリジェンス・プロセスでは、サプライヤーに負担を転嫁せず、サプライチェーン全体の徹底したリスク評価を行うことを要請。労働者を含むステークホルダーとのエンゲージメントを優先し、結社の自由に対する権利が実際に保護されていることを確認する必要があるとした。また、認証は、人権保護を保証するものではなく、最低限必要なものと捉えるべきと強調した。

 アドボカシーでは、茶業界の劣悪な状況を継続させている構造を改革するため、個人的・集団的なアクションを主導し、公平な競争条件を確保するためのデューデリジェンス法および規制への支援を行うことを求めた。

 さらに政府提言としては、サプライチェーン全体を対象とした、強力な人権デューデリジェンス法の施行を要請。茶生産国の政府には、安全衛生保護、賃金の適時支払、労働時間の制限と休憩、結社の自由、ジェンダー差別とセクハラ等、発生頻度の高い違反を中心に、労働法の実効性の確保を求めた。また最低賃金は、労働組合や企業との三者間交渉を通じて引き上げられるべきであり、現物給付を賃金から除外することの必要性も訴えた。

【参照ページ】Boiling point: STRENGTHENING CORPORATE ACCOUNTABILITY IN THE TEA INDUSTRY

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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