国連環境計画(UNEP)は7月27日、世界の気候変動訴訟の動向をまとめた報告書を発行した。同様の報告書は2017年と2020年にも発行されており、今回が3回目。
同報告書によると、気候変動訴訟の件数は、2017年版で884件、2020年版で1,550件、2023年版で2,180件と増加傾向にある。今回は65法域の裁判所や準司法機関、国際仲裁裁判所等をカウント対象とした。毎回、調査対象の法域が拡大している影響もあるが、全体7割を占める米国一国だけでも件数が2017年比で2倍以上になった。
国内裁判の事例では、人権、自然権、健康的な環境へのアクセス権等として気候変動が取り上げられる傾向にある。また政府や地方政府がコミットメント違反で訴えられるケースが多かったが、近年は企業に対する訴訟事案も増えてきている。いずれもNGOが原告となることが多い。NGOは、投資家保護や消費者保護を事由にグリーンウォッシュを取り上げる戦略にも出ている。
今後の見通しとしては、過去2回の報告書でも示したように、気候変動訴訟、自然災害前後の打ち手の状況、司法判決の確実の執行の3つを継続的なトレンドとしつつ、今回新たな傾向として、責任追及の越境、低所得者層からの訴訟、気候アクティビストを対象としたものを含む反気候変動のバックラッシュ訴訟の増加の3つを挙げた。
【参照ページ】Global Climate Litigation Report: 2023 Status Review
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