
国際エネルギー機関(IEA)は2月13日、IEA50周年記念閣僚会合の場で、初の地域拠点「IEA地域協力センター」をシンガポールに設立すると発表した。運営開始は2024年後半を予定。
IEA地域協力センターは、地域内外のIEAの活動や関与のハブとして機能し、政策指導、技術支援、研修や能力開発の機会を提供していく。同センターは、再生可能エネルギーやその他のクリーンエネルギー技術の導入拡大、国境を越えた電力取引の増加、クリーンエネルギー投資への資金アクセスの改善に焦点を当てる。センターの運営開始は2024年後半を予定している。
今回の拠点設立には、シンガポール政府が深く協力。タン・シーレン第二通商産業相は、アジア太平洋地域のエネルギーのカーボンニュートラル化とエネルギー安全保障を同時に実現していく意気込みをみせた。IEAのファティ・ビロル事務局長も、東南アジアでのエネルギートランジションに関し、IEAの関与を高めていくと語った。
さらにIEAは2月14日、閣僚理事会の場で、インドのIEA正式加盟の要請に基づき、インドとの協議を開始することで合意した。インドは世界3位の石油消費国。2017年にIEAアソシエーション国として加盟し、2023年10月に正式加盟を要請していた。インドのナレンドラ・モディ首相は、持続的な成長には、エネルギー安全保障とサステナビリティの双方が必要と語った。
また同閣僚理事会では、ラトビアが32番目の正式加盟国として承認された。
同日に発表された閣僚理事会の共同コミュニケでは、気候変動、汚染、生物多様性喪失の3つの惑星危機から我々が直面するエネルギー関連の課題に対処するための準備を継続するために集まったと表現。クリーンエネルギーの移行に必要な資金投資は、公的資本と民間資本の双方が必要になるとし、IEAの「ネットゼロ・ロードマップ」に示されたエネルギー転換の重要性を改めて想起した。
【参考】【国際】IEA、ネットゼロ・ロードマップ2023年版発行。対策基準引上げ。EVは2030年に65%(2023年9月29日)
IEAは2月9日には、人間を中心としたクリーンエネルギー移行に関する各国の進捗状況を追跡するための新たなツール「Global Observatory」をリリース。クリーンエネルギー政策の中心に公平性とインクルージョンを据える各国政府を支援するためのベストプラクティスを特定していくとした。雇用と労働者の保護、社会的・経済的発展、エクイティ・社会的インクルージョン・フェアネス、クリーンエネルギー移行への市民の積極的参加という4つの主要テーマに焦点を当て、世界各地からの模範的な事例を紹介していく。
【参照ページ】IEA partners with Singapore for its first office outside of its Paris headquarters, to deepen engagement in Southeast Asia
【参照ページ】IEA to start membership talks with India in major step forward for global energy governance
【参照ページ】IEA Ministers invite Latvia to become Agency’s 32nd member
【参照ページ】2024 IEA Ministerial Communique
【参照ページ】At IEA Ministerial Meeting and 50th Anniversary, global leaders pledge to strengthen energy security and accelerate clean transitions to keep 1.5 °C target alive
【参照ページ】IEA launches Global Observatory on People-Centred Clean Energy Transitions to showcase success stories of inclusive economic development
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