
欧州委員会は6月7日、政策文書「EUにおける持続可能な漁業:現状と2025年に向けた方向性」を発表。ポルトガル沖等の大西洋北東部の水産資源量が順調に回復した一方、黒海や地中海では改善しつつも状況が依然として悪いと伝えた。
今回の発表では、大西洋北東部の水産資源量は平均して健全な範囲内にあり、観測史上最もよい状況にまで回復してきたことを強調。EUの持続可能な漁業政策が功を奏していると評価した。但し、引き続き状況が芳しくない魚種があることも付言した。
地中海と黒海では、資源量は徐々に健全化しており、漁獲死亡係数も過去最低レベルにはなっているが、それでも推奨持続可能率を20%も上回っている状況にある。欧州委員会は、主要な魚種と生態系が完全に回復するためには、より大きなコミットメントと継続的な努力が必要とした。
バルト海では、資源量が減少し続けており、非常に憂慮すべきとした。バルト海の10魚種のうち4魚種は、もはや漁獲対象から外され、混獲としてのみ水揚げされている。
全体の概況では、漁業が気候変動の影響を受け続けており、漁業で生計を立てている関係には厳しい状況となっていると指摘。また、非EU加盟国も含め、IUU漁業と闘うためには、さらなる努力が必要と訴えた。
欧州委員会は今後、8月31日までのパブリックコメント期間を経て、2025年に向けた政策を発表していく。発表する政策は、EUの複数年次漁業管理計画、国際海洋探査評議会(ICES)が提供する科学的助言、漁業科学・技術・経済委員会(STECF)が提供する経済分析に基づき、漁獲規制等も盛り込む予定。最終的に、EU理事会が、欧州委員会の提案を審議し、10月と12月に開催されるEU理事会で、2025年の漁獲割当量を決定する。
【参照ページ】Progress on recovery of fish populations, but more efforts needed to build resilient and sustainable fisheries sector
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