
気候変動対応を企業に求める欧州機関投資家団体IIGCCと米ESG投資推進NGOのCeresが運営する自然資本分野の集団的エンゲージメントイニシアチブ「Nature Action 100(NA100)」は10月28日、国連生物多様性条約第16回カリ締約国会議(CBD COP16)の場で、エンゲージメント対象企業100社を評価するためのベンチマーク指標の初回評価結果と全体概要を発表した。
【参考】【国際】機関投資家団体NA100、自然資本分野のベンチマーク指標決定。2024年後半に初スコア(2024年4月28日)
【参考】【国際】投資家自然団体NA100、加盟機関投資家が225に到達。資産総額4500兆円。日本は5社(2024年9月9日)
NA100は2023年9月、エンゲージメント対象企業100社を発表していた。日本企業の対象は、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、味の素、王子ホールディングスの5社。100社の時価総額合計は9兆米ドル(約1,300兆円)。NA100に参画した機関投資家は、190機関で、運用資産総額は23.6兆米ドル(約3,500兆円)。
評価メソドロジーとなるベンチマーク指標は、企業に求める6つの重要テーマ「野心」「評価」「目標」「実践」「ガバナンス」「参画」に対し、17のサブ指標(Sub-Indicator)、50の具体的指標(Metrics)で構成されている。指標の開発には、BNPパリバ・アセット・マネジメントが資金協力した。今回の初回発表以降、後毎年発表される。
今回設定されている具体的指標は、定量的な数値開示を求めるタイプのものよりも、各内容についてコミットメントや開示を求めるタイプのものが多い。そのため自由度が高い分、各企業が自らでコミットメントする内容や目標設定を行う必要がある。
日本企業5社では、自然保護・再生へのコミットメントに関する指標「野心」で、味の素と三井物産の2社が全ての基準を満たすとの評価を得た。一方、「全ての基準を満たす」の評価はこれのみ。他の評価は5社全て、「部分的に満たす」か「満たす項目がゼロ」の評価となった。
全体傾向では、3分の2以上となる68社が自然保護・再生へのコミットメントを開示。そのうちの3分の2の46社は企業のバリューチェーンを通じてコミットメントを表明していた。「評価」では、自社事業での重要なインパクト評価を実施していた企業はヴァーレのみ。
「目標」指標では、自然保護・再生目標と実施計画を開示している企業は47社。そのうちの4分の3以上となる37社は、目標達成のための戦略も開示していた。先住民族と地域コミュニティの権利の尊重と維持に関する指標5つでは、1つ以上で基準を満たした企業は31社だったが、全ての基準を満たした企業はゼロだった。
NA100のテクニカル・アドバイザリー・グループは、生物多様性のための金融財団(FfB)とプラネット・トラッカーが共同で主導している。
【参照ページ】At COP16, Nature Action 100 reveals results of its first benchmark assessments of corporate action on nature
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