
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は11月5日、保険会社及び再保険会社に対するマクロ・プルーデンス規制であるソルベンシーII指令改正案と保険再建・破綻処理指令(IRRD)案を可決した。両EU指令案はすでに欧州議会を通過しており、両EU指令が成立した。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、保険会社ソルベンシーII指令改正案と保険再建・破綻処理指令案で政治的合意(2024年1月2日)
ソルベンシーII指令の改正では、欧州グリーンディール戦略に向けた長期投資を保険会社や再保険会社に促す仕組みを導入した。さらに、長期保証措置を改善し、リスク感応度を高め、保険業界のレジリエンスを向上させるとともに、保険制度に新たなマクロプルーデンス・ルールを導入した。新ルールについては、小規模の保険会社にはルール適用を簡素化する仕組みを採用し、柔軟性を確保。また、保険加入者の保護も強化する。
同指令改正では、欧州保険・職業年金機構(EIOPA)のミッションも強化し、EU全体での制度整合性を改善。また、新ルールを補完する委託法令の制定権限を欧州委員会に付与した。
保険再建・破綻処理指令(IRRD)では、保険会社の破綻処理をスムーズに進めるための制度を設けた。各国当局に対し、早期に介入するための予防的権限を付与。各加盟国は、既存の当局内または新たな独立法人として保険破綻処理当局を設置することが義務化された。欧州保険・職業年金機構(EIOPA)が調整役になる。
さらに、保険会社及び再保険会社に対し、事前(Pre-emptive)再建計画の策定を義務付け、各国の当局に提出することも義務化。同報告義務は、各国の保険会社及び再保険会社の60%以上をカバーする企業が対象となる。加えて、当局に対し、各市場の40%以上を占める保険・再保険会社の破綻処理計画を策定することも義務付けた。破綻処理の手法についても詳細に規定し、特に被保険者を保護するため、一部の負債を再建計画から除外することもルール化した。
両EU指令は、EU官報掲載の20日後に発効する。EU加盟国は発効から2年以内に国内法化する義務を負う。
【参照ページ】Solvency II and IRRD: Council signs off new rules for the insurance sector
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