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【ルクセンブルク】ミタル、製鉄脱炭素化投資計画を修正。電炉を先行。市場転換に遅れ

 製鉄世界大手ルクセンブルクのアルセロール・ミタルは11月26日、欧州の製鉄所のカーボンニュートラル化に向けた投資計画の軌道修正を発表した。2050年カーボンニュートラル目標は維持しつつ、投資計画を見直した。

 同社は当初、欧州での複数の高炉を、水素対応の直接還元・電炉(DRI-EAF)法に転換する意向を発表。欧州委員会の承認を得て、プロジェクトへの資金援助も受けていた。

 しかし、欧州の政策、技術、市場が好ましく進んでおらず、移行に伴う設備投資と操業コスト増を相殺できないと分析。グリーン水素が実現可能な燃料源となるまでの進展は非常に遅く、天然ガスベースのDRIも暫定的な解決策としてもまだ競争力を持っていないと語った。

 さらに、低炭素型鋼材にプレミアムを支払う顧客側の意欲も低く、炭素国境調整メカニズム(CBAM)にも欠点があるため、中国の過剰生産に起因する輸入増加に対応して貿易保護措置を強化する必要があると主張。同社としての最終投資決定の前に、2025年に予定されているCBAMの見直し、鉄鋼セーフガードの見直し、鉄鋼・金属行動計画の公表等の進展を待つ必要があるとした。

 そこで、同社は段階的なアプローチを採用し、まず電炉の建設から着手する予定と公表。5月には、スペインのヒホンにある長鋼工場で生産能力110万tの電炉の建設を開始。さらに、2基の電炉を有するスペインのセスタオにある平鋼工場では、2026年までに生産量を160万tに増産する改修プロジェクトが進んでおり、完成すれば、この生産量の大部分は同社のリサイクル再生鉄「XCarb」の生産となる見込み。XCarbは、温室効果ガス排出量が鋼材1t当たり300kgと少なく、今年の販売量は倍増の約40万tに達するという。

 長期的には、温室効果ガス排出量削減に向けた打ち手では、炭素回収・利用・貯留(CCUS)も含めるものの、グリーン水素と同様に同技術が有意な差異を生み出すのは2030年以降になる可能性があると分析した。CCUに関しては、すでにベルギーのゲントにある工場で量産規模CCU設備が1基稼動済み。さらに、ゲントで2つのパイロット・プロジェクトが進行中。

 その上で同社は、2050年のカーボンニュートラル目標は維持。最新の2030年までの排出原単位目標は、近日発行予定の気候変動対策レポートに改訂版の目標を掲載すると伝えた。

【参照ページ】ArcelorMittal provides update on its European decarbonization plans

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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