
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月25日、委託先運用会社の議決権行使について、運用会社の利益相反の有無が与える影響を分析した報告書を発表した。
運用会社の利益相反管理については、金融庁が2014年に日本版スチュワードシップ・コードを策定。当時は、金融機関グループ傘下の運用受託機関が、親会社等との利益相反の懸念について組織的な対応がなされていない事例があり、利益相反管理を徹底することがルール化された。
今回の調査では、その後、運用会社が利益相反管理を徹底したかを、大量の議決権行使データを用いた定量分析によって評価。具体的には、GPIFの国内の委託先運用会社による2013年4月から2023年3月までの延べ4,603,167件の議決権行使データを調査し、親会社やグループ会社の取引先(メインバンクや主幹事証券先)等の親密企業に対する議決権行使とそれ以外の企業に対する議決権行使の違いの有無を検証した。
分析の結果、全体平均では、利害関係の有無が議決権行使に影響を与えている傾向は確認されなかった。特に退職慰労金支給と買収防衛策導入の議案では、2017年度以降に顕著な反対率の増加が見られた。
だが、反対率が高い議案については、行使傾向に違いが現れている点も一部で確認された。2017年度以前は反対率が高い議案で利害関係先に対し、発行体取締役会側の意見に賛成をする傾向があった。但し、2017年度以降は次第に傾向が変わり、2021年度から利害関係の有無による有意な違いが見られなくなっていた。
GPIFは今回、調査対象のデータ制約等により、利益相反管理が必要な全てのケースをカバーできてはいないと付言。各運用会社は、企業グループ会社内での位置づけの違い等もあり、管理すべき利益相反の対象範囲には違いがあることから、今後も引続き運用受託機関と対話を続け、管理の改善を追求していくとした。
【参照ページ】運用受託機関の議決権行使に関する検証
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