
英政府とロンドン市が共同設立したトランジションファイナンス協議会は8月18日、トランジションファイナンス・ガイドライン案を公表した。9月19日までパブリックコメントを募集する。
トランジションファイナンス協議会は2月に発足。同ガイドラインは、高排出セクターの企業向けに法人融資を行う場合の基準を示したもの。英国内向けではなく、国際基準の叩き台としての策定を目的とし、新興国、発展途上国、中堅中小企業、全てのアセットクラスに適用できる基準を目指している。2026年3月に完成予定。
同ガイドラインは、英国の移行計画タスクフォース(トランジションプラン・タスクフォース)から国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に運用が引き継がれた「TPTフレームワーク」や、グラスゴー金融同盟(GFASNZ)の移行計画(トランジションプラン)開示フレームワーク等の既存のガイドラインを参照。英国のサステナビリティ開示要件(SDR)や、EUのサステナブルファイナンス開示規則(SFDR)、国際資本市場協会(ICMA)の「気候トランジションファイナンス・ハンドブック」、気候債権イニシアチブ(CBI)のトランジション意見ペーパー、タクソノミー、IIGCC等のネットゼロ投資フレームワーク(NZIF)との相互運用性にも配慮されている。
今回公表された案では、「信頼できる野心」「前進するための行動」「透明な説明責任」「依存への対処」の4つを重要な原則として設定。信頼できる野心では、1.5℃パスウェイとの整合性を重視しつつ、発展途上国に関しては一定の柔軟性を持たせる指針も盛り込んだ。
さらに、寿命の長い高排出アセットの設備投資による「カーボン・ロックイン」にも言及し、1.5℃パスウェイに基づき設定された時期を超えて稼働が継続する新規(または既存の拡張)の高排出アセット・活動への投資を回避または最小化することをルール化し、怠った事業体は、トランジションファイナンスの対象から除外される可能性があるとした。但し、移行準備状況や段階的廃止条項といった緩和策の有無は考慮される。
長期的なネットゼロ表明は要件としない考え。むしろ、トランジションファイナンスは、短期・中期での削減を着実に進めることに意義があるとし、中間目標・指標・達成策の設定を必須とする。
「依存への対処」では、掲げた行動を達成するうえでは、将来の不確実性に依存していることを考慮。具体的には、外部マクロ経済状況(政府政策への依存等)、事業体内部の運営(債権回収への依存等)、事業体内部の運営(正確かつ信頼性の高いデータの収集への依存)、物理的要因(インフラや資源の利用可能性)、重大な環境・社会リスク等を挙げた。トランジションファイナンスでは、これらの依存関係を明確にし、依存関係が重要な場合には、企業は当該依存関係に積極的に対処するための軽減策に関する透明性を確保すべきとした。すなわち、依存関係を未達成の言い訳にするのではなく、積極的な事前対処が求められることになる。
さらに同ガイドライン案では、これら4つの原則について、「中間目標・指標」「実施」「財務的実行可能性」「エンゲージメント」「開示」「ガバナンス」を「ユニバーサル要素」と位置づけ、最低限の要件も提示した。加えて、「適応・レジリエンス」「長期目標」「第三者保証・検証」「環境・社会リスク」「オフセット」の5つを「状況的要素」と位置づけ、関連性がある場合には考慮すべきとした。
【参照ページ】UK Launches consultation on Transition Finance Guidelines
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