
中国の南京大学、中国科学院、欧州委員会共同研究センター、東京大学等の国際研究チームは7月27日、森林を構成する樹木の種数が多いほど、光合成量が多いだけでなく、光合成量の長期的な増加幅も大きい傾向を示した論文を発表した。学術誌Nature Climate Changeに掲載された。
今回の研究では、世界の森林を対象とした高解像度の樹種数マップと、2001年から2020年までの人工衛星由来の光合成指標を統合して分析。その結果、樹種が豊富な森林ほど光合成量が高く、時間の経過に伴う光合成量の増加も大きい傾向が確認された。
同研究チームは、この傾向について、樹種が豊富な森林では、大気中の二酸化炭素濃度上昇によって植物の光合成が促進される「二酸化炭素施肥効果」が増幅されていることが主な要因と分析した。多様な森林が水や栄養分による制約を緩和する能力が、二酸化炭素施肥効果の増幅と光合成量の増加に寄与している可能性があるとした。
但し、今回確認されたのは、樹種数と光合成量及びその長期的な増加との統計的な関係であり、樹種数の増加が光合成量の増加を引き起こすという直接的な因果関係を立証したものではない。
さらに同研究チームは、将来の生物多様性喪失が森林の光合成量に与える影響を推計。2050年までの樹種多様性の低下により、森林の光合成量の増加傾向が3%から17%低下し、世界の森林における累積光合成量が炭素換算で4.4PgCから35.7PgC減少する可能性があるとした。1PgCは炭素10億tに相当する。
植物の光合成量の増加は、陸域生態系による炭素吸収の強化に重要な役割を果たす。同研究チームは今回の結果を踏まえ、陸域の炭素吸収源を維持するため、生物多様性の保全を気候変動緩和戦略に組み込む必要性を強調した。
【参照ページ】Tree species richness relates to long-term forest photosynthesis increase
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