
欧州委員会は5月16日、イベントチケットの転売オンラインマーケットプレイス「Viagogo」が、過度なカウントダウンメッセージで消費者に圧力をかけること等をやめることで合意したと発表した。
欧州委員会と消費者保護協力(CPC)ネットワークは2021年4月、同事案に対し、Viagogoとの対話を開始。不公正商行為指令(UCPD)、消費者権利指令(CRD)、不公正契約条件指令(UCTD)を基に、同社への改善を求めてきた。
UCPDでは、ユーザーに透明で真実な情報を提供することや、消費者の選択に影響を与えるような誤解を招く行為を抑制することを義務化。CRDでは、オンライン購入時に事業者が消費者に提供しなければならない情報を規定。UCTDでは、事業者が消費者の不利益となるような著しく不均衡な標準約款を適用することを禁止している。
今回の合意では、ウェブサイトに表示されるカウントダウンメッセージの数を大幅に減らすことや、検索結果でのViagogoのチケットのランク付け方法をさらに明確にすることを約束。可能であれば、消費者が会場の座席セクションだけでなく、正確な座席番号を選択できるようにすることも約束した。チケットの配送オプションが1つしかない場合、配送料を表示価格に含めることや、チケットに複数の配送オプションがある場合、Viagogoは配送料が表示価格に含まれていないことをより明確に消費者に知らせることも約束した。同合意の対象は、EU/EEA(欧州経済地域)の消費者に向けたウェブサイトのバージョン。実施期限は2024年8月末まで。
また、Viagogoは8月末までに利用規約のいくつかの条項の変更と明確化を実施することにも同意。ユーザーは居住するEU加盟国でViagogoに対して訴訟を起こすことができ、その国の消費者法の保護を受けることができることや、ユーザーは、チケットに問題が発生した場合、Viagogoの「保証」スキームに基づいて払戻しを申請する時間が延びる変更を加える。
一方、同社は、CPCネットワークが要求した内容の一部を拒否した。それには、チケットの配送オプションが複数ある場合、購入手続きの最初に配送料の可能性を消費者に知らせることや、仲介者としてのViagogoが提供する救済措置の他に、イベントがキャンセルまたは延期された場合に、消費者は実際のチケット販売者やイベント主催者に対し、要求する権利を有する可能性があることを明確にすることが含まれる。
CPCネットワークは今後、同社の約束事項の履行状況をモニタリングしていく。さらに、拒否した部分の内容についても引き続き対処を求める。Viagogoが合意された期限内に約束を適切に履行しない場合、またはCPCネットワークが提起した残りの懸念に対処しない場合、各EU加盟国国の消費者当局は制裁を含むコンプライアンスを強制する措置を取ることができる。
同社に対しては、すでにEU加盟国の国内法に基づき、Viagogoに対する法的手続きが進行中。今回のCPCネットワークとViagogo間の対話の終了は、これらの手続きには影響を与えない。
EUでは、同事案の発生以降の2024年2月にデジタルサービス法(DSA)が施行されており、オンラインサービス事業者には段階に応じた義務が設定されている。Viagogoも同様に同法上に義務を遵守しなければならなくなっている。
【参照ページ】Online ticket marketplace Viagogo commits to improving terms and consumer information after dialogue with Commission and consumer authorities
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